今回は、台湾旅行における楽しみの一つである「マッサージ」の話です。
台湾旅行と「マッサージ」
台湾旅行における楽しみと言えば、やはり「グルメ」、「観光地巡り」、「お茶」、「マッサージ」あたりかなと思います。実際、ガイドブックを見てみると、マッサージ店の紹介に多くのページを割いているものは多いです。
台湾は先進国ではありますが、社会構造は日本のそれとは少し異なり、「大学を出て公務員や会社員になる」のが必ずしも当たり前ではなく、「手に職をつけて早くから働く」人たちもまだまだ多いです。そんな背景もあって、マッサージ師として働いている方も非常に多いわけです。私が暮らす台北市内にも本当にびっくりするくらいの数のマッサージ店があります。
単純にお店の数が多く、身近な存在であるというのも一つの理由ではありますが、日本人観光客にとっては特に価格が魅力的に映るのではないでしょうか。マッサージと一言で言ってもいろいろと種類がありますから一概には言えませんが、日本でごく普通の全身マッサージを受けると、1時間で6,000円程度であることが多いです。台湾にもそのくらいの価格帯のお店はありますが、その半額くらいでやってくれるお店も少なくありませんから、まあやっぱりまだ「安い」とは言えるのかなと。もっとも、数年前に比べて現在は円に対して台湾元は明らかに高めですし、台北の物価は年々上昇していますから、日本の相場との差はどんどん小さくなっているような気はしますが。
まあ、価格の話は置いておくとしても、旅先でリフレッシュするのに最適な手段の一つであることには違いありません。私は長年肩凝りに悩まされていて、台北市内にあるいろんなお店をこれまでに訪れてきましたので、今回はガイドブックにあまり書かれていないことを中心に、あれこれ書いてみようかなと思います。
マッサージの種類
まず、お店の表記についてです。マッサージは中国語では「按摩」ですが、看板にはこれではなく、基本的には「養生館(もしくは養生會館)」と書いてあります。足つぼマッサージが受けられるお店の場合は、大きな足のマークが付いていることも多いです。基本的には外から店内を見れば一目瞭然だと思います。ただ、近年は「SPA」と表記しているお店も少なくなくて、そういったところの場合、外からは受付しか見えないような造りになっていることも多いです。
種類に関しては、「足つぼ」、「局部(部分マッサージ)」、「半身」、「全身」と、まあ日本にあるのと同じです。
特に注意すべきなのは、半身マッサージや全身マッサージの場合、「指壓(指圧)」か「油壓(オイルマッサージ)」の二種類から選べることが多いということです。どちらを選択するかで価格は異なり、オイルマッサージは指圧の1.5倍程度の値段に設定されていることが多いです。また、指圧を選択した場合、店内で専用の服に着替えて施術を受けるのが基本ですが、オイルマッサージの場合は基本的に裸に紙パンツだけという格好で施術を受けることになります。なので、直に体を触られることに抵抗がある方は、指圧を選ぶべきです。
なお、「男女」とあえて書いてあるお店もありますが、基本的には性別に関係なく利用することが可能です。マッサージ師の性別に関しては、女性客は基本的に女性のマッサージ師が担当します。ただ、足つぼのみの場合などは男性が担当することもあります。男性客に対してはどちらが担当する可能性もありますが、オイルマッサージの場合は女性のマッサージ師が担当します。
価格
もちろんお店によって価格にはそれなりに差があります。
地元民がよく行くような安いお店の場合、1時間の全身指圧マッサージで700元(約2,600円)くらいでしょうか。観光客に人気がある有名店(後述する六星集足體養身會館の場合など)だと、1,100元(約4,000円)程度であることが多いようです。
ちなみに、オイルマッサージの場合、オイルを拭き取るのに時間が多少かかったりするためか、90分以上のコースが基本になります。例えば、日本人に人気のエリアである中山駅周辺にあるお店などでは、2時間1,500元(約5,500円)程度であることが多いです。ただ、これはマッサージ開始と同時にカウントを始めて2時間というわけではないので、正味の施術時間は1時間15分程度であることが多いような気がします。ざっくり言えば、店に入ってから出るまでが2時間といった感じでしょうか。施術後にフロント前のソファー席でお茶とお茶菓子が提供されることが多いのですが、それを楽しむ時間も込みで、、、と考えるべきなのかもしれません。
利用時の流れ
お店に入ってコースを指定してからの流れは施術内容によって異なります。「足つぼ+全身マッサージ」のようなセットメニューもあったりはしますが、基本的には以下のような感じです。
足つぼマッサージ
- 専用のブースで足湯
- 席に移動
- マッサージ
- お会計
全身指圧マッサージ
- 短時間の足湯(省略される場合あり)
- 足の洗浄(省略される場合あり)
- 着替え(個室の場合は個室に移動後。そうでない場合は専用のブースにて。)
- 施術室に移動(完全な個室の場合とカーテン仕切りのみの大部屋の場合あり)
- マッサージ
- 着替え
- お会計(前払いの場合あり)
全身オイルマッサージ
- 個室に移動
- シャワー(個室にシャワールームが付いている場合と部屋の外にある場合がある)
- マッサージ
- シャワー
- お会計(前払いの場合あり)
有名店
台北市内には、ガイドブックに掲載されているような有名店がいくつもあるわけですが、当然ながら外国人向けの価格設定であり、私の薄給では行けませんから、実は私は詳しくありません。
ただ、台湾人からも高評価なチェーン店がありますので、名前だけ出しておきたいと思います。「六星集足體養身會館」というお店です。台北市内に数店舗あるのですが、スタッフの技術が安定していることに定評があります。もちろん料金は高めなので私は今後も行けませんが、旅行者の方は名前を覚えておいても損はないのではないでしょうか。
あとは、男性陣に人気なのが「星光閃閃時尚生活館」でしょうか。若い女性のマッサージ師が多いそうです。「森の帆」という名前からして日本人をターゲットにしているお店も同様の理由から人気があるようです。どちらも台北メトロ(MRT)中山駅の徒歩圏内にあります。
地元民しか行かないお店
それでは、ごくごく普通の台湾人はいったいどこに行くのか?という話になるわけですが、やはり繁華街から少し離れた場所にある小さめのお店に行くことが多いようです。
私の場合だと、台湾に移ってきた当初は、やはり外国人観光客と同じように中山駅や西門駅の近くにあるお店に行くことが多かったです。その中でもなるべく安いお店を選んでいたのですが、どうも質が微妙であり、だんだんとそのエリアからは遠ざかっていきました。
その後、ちょっとしたきっかけから、マッサージ屋がやたらと多く集まる不思議なエリアを発見し、数ヶ月間かけていろんなお店を試してみました。場所は、「八徳路四段」という東西に伸びた通り沿いです。なお、その北にある「南京東路五段」沿いにもたくさんのお店があります。最寄駅はメトロの「南京三民駅」です。この辺りには数十件のマッサージ店が存在するのですが、なぜこのエリアに集まっているのかはわかりません。
私が普段訪れるのは、仕事が終わった後の遅い時間帯です。雰囲気が伝わるかどうかわかりませんが、何枚か写真を貼っておきます。
まあ何となくちょっと怪しい雰囲気のお店が多いです。私も最初に行った時には入るのをしばらく躊躇い、緊張しつつも勇気を出して、、、といった感じでしたが、慣れればどうというものではありません。実際に入ってみればごくごく普通のマッサージ店です。
このエリアの相場は安めなのですが、マッサージ技術は比較的しっかりしていることが多いです。なので、私は今後もこのエリアを夜な夜なウロウロすることになりそうです。
このエリアのマッサージ師は大陸から来た中国人やベトナム人であることも多く、基本的に中国語しか通じませんから、読者の方にお勧めできるかと言われるとちょっと微妙です。実際に何人ものマッサージ師に聞いてみましたが、日本人の客はほとんど来ないそうです。ただ、私はこういった非常にローカルで素朴な雰囲気のエリアが好きなので、そういうのに触れたい台湾マニアな方にはオススメできるのかなと。
利用時の注意事項
これから台湾旅行の際にマッサージを受けてみたいと考えている方々に向けて、幾つか注意事項を書いておきたいと思います。
まず、これは海外旅行全般に言えることではありますが、自分の意思を伝えることを絶対に躊躇わないでください。特に重要なのは、痛かったら痛いとしっかり伝えることです。中国語ができなくても、痛そうな顔で「イタイ!」と言えば意味は伝わります。こちらには山ほどマッサージ店がありますから、どうしても技術にはムラが出ます。やたらと強い力でゴリゴリ押してくるマッサージ師なんかも普通にいます。首や腰など、気をつけないと洒落にならない事態になる可能性だってあるわけです。彼らは悪気があってそうしているわけではありませんから、力が強過ぎる場合はしっかりその旨を伝えましょう。それで簡単に解決する問題です。
次に、あまり細かいことは気にするべきではないということです。例えば、私が普段行くような安めのお店の場合、マッサージ師は施術中に電話がかかってきたら普通に出て話をします。もちろん、「今、接客中だから」などと言ってすぐに切りますが。LINE(ライン)のメッセージが届くと、片手でマッサージをしつつ、片手で返信をする人もいます。日本人からしたら信じられないかもしれませんが、そんなのは普通によくあることですから、いちいち腹を立てないでいただきたいなと。また、施術時間に関しても、しっかりしたお店だとマッサージ師がタイマーをセットして管理しますが、安いお店だと適当なことも多いです。上の方にも書きましたが、2時間コースの場合、シャワーや着替えの時間も全部込み込みなことが普通ですし、10分や15分早く終わるなんて日常茶飯事です。しかしながら、激安店のマッサージ師と会話をして打ち解けた結果、凝りがひどかったため、時間をオーバーして長めに揉んでもらったこともあります。「交渉」なんていう堅苦しい言葉はなるべく使いたくありませんが、初対面でもコミュニケーションに依存する部分が日本よりもはるかに大きいのです。ですから、とにかく寛容な心でいるのが一番だと思います。
なお、多くのマッサージ店ではマッサージ師に番号が振られていて、彼らは基本的にその番号で呼ばれます。気に入った人がいた場合には、次回以降その番号を伝えて指名することも可能です。もちろん、飛び込みでの指名だとタイミングが合わないことも多いので、事前に予約を入れておくと確実です。
最後に
現地民としては、台湾のマッサージは決して安くないのですごく気軽に行けるわけではないのですが、高い技術を持ったマッサージ師さんもこちらには多く、仕事の疲れを癒すのに普段お世話になっています。
実は、マッサージ師さんたち曰く、近年は日本人のお客さんが減ってきているそうです。言うまでもなく、日本人が自由に使えるお金は年々減ってきていますから、エコ旅行をする日本人が増えたということなのかもしれません。マッサージ1回分の金額があれば、夜市で何回か食べ歩きができますから。ということで、まあそういった理由もあって今回この記事を書くことにしたわけです。ぜひ、日本人旅行客の方達には、もっと気軽にマッサージ店に足を運んでいただきたいなと思っています。
ちなみに私は、オイルマッサージで一通りもみほぐした後に、大量の蒸しタオルで体全体を覆ってもらうのが大好きです。あれは本当に最高に気持ち良いので、興味のある方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
さて、長い記事を書きましたから、どうも肩が凝ってきたようです。いつものお店の受け付けのおばちゃんに、「宣伝しておいたよ〜」なんて伝えに行こうかなと。
(※2018年2月5日追記)
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