元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

シンガポールを訪れたことで見えてきた台湾の魅力

シンガポールのマーライオン


先日、シンガポールにプライペートで旅行に行ってきたのですが、いろんな発見がありましたので、台湾との違いをメインにちょっと書いてみたいと思います。

 

台湾、香港、そしてシンガポール


昨年、香港を訪れた際に私はこんな記事を書きました。

 

taiwanlover.hatenablog.com

 

記事の最後でシンガポールについて言及したわけですが、今回はまさにそれを実現した感じです。なお、香港旅行の旅行記は以下の記事にあります。

 

sfcmiler.hatenablog.com


シンガポールを「中華圏」と呼んで良いのか?という話にはまあ色々あるかと思いますが、「シンガポール」、「香港」、「台湾」を横に並べて考えている人は決して少なくはないような気がします。もちろん歴史的には全く異なる国や地域ではありますが、日本人的には、アジア旅行における行き先の主要な候補地という面で共通しているかと思います。

 

シンガポールの魅力


世界地図を見ていただくとわかるわけですが、シンガポールというのは本当にびっくりするくらい小さな国です。しかしながら、地政学的には極めて重要な場所であり、金融関係やIT系の世界的大企業にとってはアジア地域における主要拠点の一つです。そのため、国自体は非常に豊かであり、インフラの質も高く、美しい街並みが広がっています。

ちなみに、今回の旅の模様は以下の記事にまとめてありますので、もし良かったら是非チェックしてみてください。記事中のリンク先には写真がたくさんあるので、見るだけで何となく行った気になれるかもしれません。

 

sfcmiler.hatenablog.com


一言で言ってしまえば、「ザ・都会」もしくは「ザ・先進国」といった感じでしょうか。高層ビルが立ち並んでいる様は東京みたいなものなのですが、東京よりももっとシュッとしているような気がします。いい感じの近未来感みたいなものがあるのですが、少し移動すればビーチや植物園、水族館なんかもあって、観光スポットも非常に充実しています。

私はそういった景観が本当に大好きなので、非常に満足度の高い滞在となりました。これは完全に趣味の問題なので、あくまで私の個人的な感覚ですが、例えば、イタリアで世界遺産を見れば「ほぇ〜!」みたいになりますが、ものすごく感動するわけではありません。しかしながら、私は近代的なビル群の美しさに触れると、心の底の方から何かが湧き上がってきてものすごく気分が高揚します。ああいった近代的な建築物の美しさは東京で散々慣れ親しんだわけですが、オッサンになった今でもまだまだ強く心が惹かれます。

そんな国ですから、比較の対象としては香港が適当なのかもしれませんが、はっきり言ってシンガポールの方がだいぶ綺麗ですね。香港はちょっと引いて見るとものすごく美しいのですが、いかんせん細い道が多過ぎて、歩いていて狭苦しさを感じます。香港で感じることのできる中華と西洋のミクスチャーは独特で非常に面白いのですが、シンガポールの「ほとんど西洋なんだけれどやっぱり中華かも」的な部分がまた本当に魅力的だったりします。個人的には、一人で訪れるのなら香港、誰かと一緒に行くならシンガポールかなと思っています。

 

台湾の魅力


何が言いたいのか、もしかしたらもう大方伝わったかもしれませんが、今回の旅行を通してあらためて、「台湾って本当にユニークだな」と感じました。

台湾は言うまでもなくIT関連企業が元気な先進国ですが、台北市内であっても、キラキラした高層ビルが立ち並び、、、といった感じではありません。台湾を訪れたことがある方であれば、きっとこれには同意していただけるかなと思います。実は、台北市内だと、IT企業の高層ビルは南港区に集まっていたりするのですが、観光客が行くような場所ではありませんから、なかなか目にする機会がないわけです。

「東区」と呼ばれるエリアなんかにはお洒落なお店も山ほどありますが、非常に古いビルの中にテナントを構えていることが多く、全体の景観としては、あまり洗練された感じはありません。台北メトロ(MRT)の市政府駅周辺に近年次々とデパートができたことからもわかるわけですが、これから綺麗になっていく街なのだと思います。もっとも、それが良いことなのかどうかはわかりません。綺麗なビル群なんていうのは、ある意味、資本主義社会における貧富の差の象徴のような気もしますしね。

当ブログのコメント欄を通して、「かつて台湾に住んでいたシニアな日本人」の方からこれまでに何度か最近の台湾に対する思いを伺う機会がありました。皆さん口を揃えておっしゃるのが、「台湾もだいぶ変わった」、「かつての台湾の良さがだんだんと失われてきているような気がする」といったようなことです。もちろんその背景には、「長年続く不景気」、「物価の高騰」、「将来に希望が持てない若者たち」等のなかなか難しい問題があるのだと思います。「人情味溢れる温かい街」というのが台湾の特筆すべき魅力だと私は理解していますが、つまるところ、資本主義がもたらす方法性なんていうのは画一的なものなのかもしれません。

そんな中にあっても、まだまだ台湾に台湾らしさが残っているのもまた事実だと思います。街の景観は5年や10年のスパンで結構変化しますが、人の心の変化はもっと緩やかです。ホカホカした心を持った人たちは、ここにはまだまだたくさんいます。東京、香港、シンガポールの人たちが冷たいだなんて言うつもりはありませんが、ドライというか、良くも悪くもクールな人はやっぱり多いかなと私は思います。

 

私たちが作る未来


今回私はちょっと矛盾したことを書いています。「大都市の醸し出す近未来感が大好き!」と言いつつ、「台湾の人たちの人情味溢れる温かさが最高!」と言っているわけで。この二つはなかなか両立しないものだと私は考えていますから。

当ブログにて、実は私は何度も資本主義を批判してきましたが、これからの世の中、この「資本主義」というのはこれまで以上に重要なテーマになるような気がします。「どんな社会にしたいのか?」という問いの答えそのものですから。

例えば、私がもっとお金を稼ぎたいと思ったら、こんな長文ばかりで執筆にめちゃくちゃ時間のかかるブログは辞めて、いわゆる「トレンドブログ」とか「アフィリエイトブログ」をやった方がいいに決まっているわけです。ブロガーとして活動していてわかるのは、「賢い人ほど随筆(エッセー)を避け、情報提供系の記事執筆に徹している」ということです。私ももう別ブログと合わせて300記事以上は書いていますから、「どんな記事が金になるか」くらいは理解しています。

そんな中、台湾における数年間の生活の中で私が学んだのは、「心」の大切さです。

だから、当ブログには随筆が多いのです。台湾の本当の魅力や価値を伝えようと思ったら、食べ物の写真を撮って載せても無意味だと思ったので。もちろんそういう記事もありますが、お口直しみたいなものです。フレンチのフルコースや会席料理ばかり食べていたら、舌が馬鹿になって美味さがわからなくなってしまいますから。(もちろん、私の書く文章にはそんな価値はありませんが。)

今回、シンガポールの街並みを目にしてそのキラキラっぷりに興奮し、それと同時に、台湾の素朴さ及び人の温かさを再認識し、社会と人について色々と考えてしまった次第です。

日本に目をやれば、猫も杓子も東京、東京、東京。勝ち組と負け組。社畜と上級国民。至高の不労所得。働いたら負け。引きこもり。ニート。性的倒錯。詐欺。宗教。れんh、、、

「それ、違わない?」って声が聞こえてきたのでこのへんにしておきましょう。

みんな一生懸命生きているだけではあるんだけれど、「心」とか「良心」とか、そういうのって本当に軽いよなと。まあそう言う私も、自分が汚いと思う諸々に正義を掲げてヘイトを投げることで、心の平静を保っているだけなのかもしれませんが。

とまあ、海外旅行をきっかけにこんなことを考える人はちょっと普通ではないかもしれませんが、私にとって海外旅行は、ダレた脳にガツンと喝を入れるのにもやっぱり必要だなと思ったり思わなかったりします。