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台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

飛行機とお酒と夜景が大好きな台湾在住サラリーマン。日々の生活の中で感じた取り留めもないこと、現地在住者ならではの観光情報などについて発信していきたいと思っています。(Twitter: @superflyer2015)

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(台湾化する日本)てるみくらぶ破産から考える「安かろう悪かろう」の意味

メッセージ 日本 雑感 時事ネタ 政治・経済

旅行客


台湾社会でも顕著に見られる現象なので、少し真面目に考えてみたいなと思います。

 

「ざまあみろ」という意見


報道を通して皆さんもご存知かと思いますが、「てるみくらぶ」という旅行会社が今週月曜日(3月27日)に破産を申請しました。

この件では、9万人程度の被害者が出ることが予想されています。旅行代金を支払ったにも関わらず、旅行には行けず、代金も返ってはこない人が多く出るだけではなく、現在旅行中の人たちに関しては、ホテルの予約がキャンセルされたために現地で追加費用が発生しているケースも出ているようです。

私は貧乏なので旅行には滅多に行けませんが、それでも旅行は大好きです。まだ見たことのないものを目にし、触れたことのない文化に触れる、人間として生まれたからこそ楽しめる文化的な素晴らしい営みだと思っています。

そんなこともあって今回のニュースには興味があり、ネット経由でいろいろと情報を漁ってみたのですが、「ざまあみろ」という意見の多さに驚きました。「安かろう悪かろう」という表現を挙げ、「リスクよりも安さをとったのだから自業自得」といったような向きの考えを持っている方が多いようです。まあ、近年は経済的余裕のない人がどんどん増えており、私を含め「旅行に行きたいけれど行けない」という人は多いわけです。当然、ハワイやらグアムやらといった単語を耳にすれば、嫉妬心を持つ方もいるわけで、一概にそういった意見を非難することもできないような気がします。

 

「安かろう悪かろう」は正しいのか?


今回のニュースを目にして、私の頭に最初に浮かんだのは、「安いものにはリスクがある」ということです。

しかしながら、その考えは、Twitterであるフォロワーさんから頂いたリプを見た瞬間に吹き飛びました。なんでも、その方は昨年てるみくらぶのツアーで台湾旅行をしたそうなのですが、その内容は、「エバー航空利用、3泊4日で17,800円(諸費用別)」だったのだとか。もう正直、開いた口が塞がりませんでした、、、

「エバー航空」というのは、台湾で一番人気の航空会社でして、全日本空輸(ANA)と同じスターアライアンスという航空連合のメンバーです。世界的に非常に高い評価を得ている航空会社でもあり、私もこの会社が好きで、東京-台北便を過去何度も利用しましたが、どんなに安い時でも航空券代だけで4万円以上は支払ってきました。平均すれば、5万円くらいでしょうか。

私はてっきり、「格安ツアー」なんだから、当然フライトは格安航空(LCC)なのだろうと思い込んでいたのですが、世界の航空会社ランキングでは常に上位にランクされている大人気レガシーキャリアですらそういった格安ツアー会社に安く席を売っているという事実を知り、大変ショックを受けました。

ということで、何が言いたいのかというと、「安かろう悪かろう」とは言うけれど、5万円で買った席も、格安ツアーで利用可能な席も、基本的には同じわけです。ですから、正しい言い方をすれば「安いだけで質は同じ」なのではないでしょうか。航空会社から直接航空券を購入するのと比べて、格安ツアー会社からの購入は会社倒産のリスクがあるのかもしれませんが、そんなのは実際には滅多に起きることではありません。それに、仮に倒産したところで、これまで格安の恩恵を受けてきたことを考えれば、どうという話ではないでしょう。例えば、台湾2泊3日3万円のツアーに申し込んだとして、今回のようなことが起きてホテル代を追加で支払う必要が生じたとしても、たかだか1泊あたり1万円程度なわけです。リスクと言うには、あまりにも小さい金額でしょう。あえて格安ツアー会社で、数十万円する商品を購入しようとする人たちの気持ちは、私にはわかりません。

今回の件を機に、私も今後は旅行会社から航空券を購入するようにしようかなと思っています。なんだかもう、航空会社から直接、4万円や5万円といった価格で購入するのが馬鹿馬鹿しく思えてきました。商品自体は同じわけですから。私のような人が今後増えれば、ダメージを受けるのは航空会社なような気がするのですが、どうなのでしょうか。空席のままにしておくよりは、激安だろうが少しでもお金に変えた方が良いだろう、と考える気持ちはわかります。でも、私のように考える人がいることも忘れないで欲しいなと。

 

台湾化する日本


日本人というのは、何に関しても、昔から「質」にとにかくこだわってきたような気がしますが、最近は随分と変わってきたなと思います。

誰もが簡単にネットで検索できるようになったから、というのはまあもちろん正しいのですが、とにかく価格への執着がものすごいですね。少し高値で買えば、「情弱」と言って馬鹿にされます。航空券に関して言えば、近年は陸マイラーブームなわけですが、まあ本当に恐ろしく破壊力のある仕組みですよね。

 

sfcmiler.hatenablog.com


そんなことを続けた結果、消費は低迷し、とにかく金が動かなくなりました。シャープや東芝といった日本を代表する会社も大きく崩れてしまいました。最近は、パナソニックが危ないのだとか。昔から好きなメーカーでしたから、本当に残念でなりません。

これは私の勝手な意見ですが、日本には揺るぎない質への執着があったから、アジアのトップランナーとして長年君臨できたのではないでしょうか。台湾で何年も暮らしていて思うのですが、最近の日本人って本当に台湾人そっくりなんですよね。とにかく生活がエコなんです。少ない所得を賢く管理して、人生を目一杯楽しもうとしているように見えます。

これ、全く悪いことではないんですよ。ただ、日本人として、ただただ情けないというか、残念だなって。もちろん、自戒を込めて言っています。

結局のところ、富の再分配ができていないことが一番の問題なのでしょうね。ごく一部の人間が大部分の富を握りしめ、中間層は細り、ピラミッドの下の方がやたらと太る。年寄りは残りの時間が限られているのになぜか口座の中の金を使おうとはせず、旅行はてるみくらぶの格安ツアー。

皆さんも驚きませんでしたか? ニュースで紹介されるてるみくらぶ破産の被害者は、ハワイ旅行に申し込んだ60歳のおじいさんとか、オーストリア旅行に申し込んだ85歳のおじいさんとか。私が「可哀想」という感情を持てなかったのは、そういう理由からです。

私がこんな場所で愚痴ったところで、何かが変わるわけではありません。日本人の多くは、これからも経済活動をよりコンパクトにしようという試みを続けるでしょう。さて、その先に待っているのは何でしょうか?

台湾と同じだと思います。非婚化、少子化、労働人口の減少、さらなる景気の低迷。

どんどんどんどん日本が小さくなっていくような気がします。

バブルを、なんて贅沢は言わないから、一億総中流だった時代、私も経験してみたかったです。