元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

台湾にて現地採用で働くことのメリットとデメリット

押し問答


台湾好きな日本人:「台湾が大好きなので、今の仕事を辞めて台湾に移住しようか迷っています。台湾現地採用って、実際のところどんな感じでしょうか?」

当サイト管理人:「メリットとデメリット、どちらからお話ししましょうか?」

台湾好きな日本人:「それじゃあ、メリットからお願いします!」

当サイト管理人:「メリットね。実はね、、、な い ん だ な こ れ が!!!」

台湾好きな日本人:「えっ!?」

当サイト管理人:「えっ!?」

台湾好きな日本人:「それじゃあ、檸檬紅茶さんはいったいなぜ台湾で働いているんですか?」

当サイト管理人:「あっ、それは、当記事のコメント欄を通して、10人以上からリクエストがあったら話します。」

台湾好きな日本人:「面倒くさい人ですね、、、とりあえず、現地採用で働いている日本人は他にもいるんだから、メリットがないわけがないんですよ!」

当サイト管理人:「メリットは、、、実は、ありまぁ〜〜〜す!!!」

台湾好きな日本人:「本当にめちゃくちゃ面倒くさい人ですね、、、」

 

「台湾現地採用」のメリット


冗談はこの辺にしておいて、ここからは真面目にいきましょうか。

台湾にて現地採用で働くメリットなんていうのは、ちょっと考えれば誰にでもわかります。

「確実に台湾で暮らせる」ということです。

安倍マリオがよく知られた例ですが、日本の地面を掘り進めるとブラジルに着くなんていう話があります。つまり、ざっくり言えば、ブラジルが一番遠い外国なわけです。そして実は、私の知人の一人は、ブラジルにて現地採用で既に何年間も働いています。

何が言いたいのかと言うと、現代は「どこででも暮らせる時代」だということです。日本に生まれたわけだから、日本で暮らし、日本の地に骨を埋める。それはもちろん大多数の人に当てはまる極めて一般的なことです。しかしながら、それ以外の選択肢も十分確立しています。あなたはあなた、あなた固有の人生を生きています。あなたには、移動の自由というものがあるのです。

ということで、あなたが台湾のことが大好きで、「どうしても長期間住みたい!」と強く望むのであれば、現地採用という選択肢を検討してみても良いかもしれません。選ばなければ、何かしらの仕事はあります。

台湾との関係が深い企業に就職して、駐在員で、、、という選択肢もあるとは思います。ただ、私は、「希望を出し続けたけれど、それが通らなかったから会社を辞めて現地採用で来ました」なんて日本人に会ったこともあります。

「速やかに確実に台湾に移住できる」というのが、現地採用の最大のメリットなのかなと思います。

 

台湾で落ち着くということ


現地採用には、もう一点、大きなメリットがあると私は考えます。

それは、「台湾で落ち着くことが現実的になる」という点です。

要は、台湾人と結婚して、台湾で家庭を築き、長期的に落ち着いて暮らすことが現実的になるということです。

「台湾が好き」と一言で言っても、具体的に台湾の何が好きなのかは人それぞれだと思いますが、「台湾の人たちに魅力を感じている」という人は多いのではないでしょうか。国を構成しているのは国民ですから。

その国のことが好きになり、その国の人たちのことが好きになれば、異性にも興味が出るのは普通のことだと思います。

ただ、物理的な条件はやはり重要ですから、日本に住んでいて外国人のパートナーを見つけるのは決して容易ではありません。その点、現地に住んでいれば、周囲の異性も基本的には現地人ですから、そういったチャンスは非常に高くなるわけです。

私の国際結婚に対する考え方は過去の記事で書きましたから、ここでは繰り返しませんが、「好きな国の人とパートナーになれる可能性が飛躍的に高まる」という点は、現地採用の大きなメリットだと言えるのではないでしょうか。

 

深刻な経済面でのデメリット


もしかしたら、今これを読んでいる方の中に、移住を本気で検討している方もいらっしゃるかもしれませんから、想定されるデメリットに関しても真面目に書いておきたいと思います。

日本人にとっての一番のデメリットは、やはり経済面ではないでしょうか。

例えば、台北は大都市ですが、東京と比べたら、給与水準にはまだまだかなりの差があります。自分のことを少し書くと、私は台北でごくごく標準的な給料をもらっていますから、台北で暮らしている分には特に経済的不自由は感じません。東京で暮らしていた時と同様、決して贅沢はできないけれど、毎日晩酌することくらいは可能です。

ただ、たまに日本に帰ると、日本の物価の高さに本当に恐怖を感じます。ですから、死ぬまで台湾で暮らすのならよいのですが、ほどほどで日本に帰る予定なら、お金の問題には要注意です。20代のうちなんかは問題になりませんが、例えば、35歳とか40歳とかなら、それなりに貯金があるのが普通でしょうしね。

それに、ある程度年をとってから日本で仕事を探しても、何らかのスキルがない限り、まともな職を得るのは難しいです。私は最近、日本で転職活動をして全滅しましたから、その困難さに関してはよく理解しているつもりです。

あとは、やはり年金ですね。台湾で働きながら、日本で毎月約1万6千円の国民年金の保険料を納めるのは、あまり現実的ではないような気がします。給与水準の差を考慮したら、1万6千円は結構大きな額です。

日本の年金制度はよく批判を浴びていますが、台湾の年金制度も近年深刻な問題になっています。一言で言えば、貧弱過ぎるんです。しかも、公務員と民間企業の会社員では、年金制度に極端な差があり、この点に批判が集まっていたりもします。

今の私にはよく分かるわけですが、給与水準の低い国への移住は本当に大変です。

現実的なことを言うのなら、やはり早めにまともなパートナーを見つけて、共働きでしっかり稼ぎ、堅実に貯金をするのが一番かなと。

 

日本の家族に付随する問題


もう少し突っ込んで現実を見てみることにしましょう。

例えば、台湾に移住し、台湾の地に骨を埋める覚悟で暮らすにしても、日本にいる親のことが気になる方は多いのではないでしょうか。

十分な貯蓄があり、認知症なんかになっても施設で面倒を見てもらえる方は良いのかもしれませんが、そういう方は決して多くはないと思います。介護認定のレベルにも依りますが、あの手の施設、ものすごく高いです。「兄弟がいるから、、、」なんて言う方もいるかもしれませんが、将来何が起こるかなんて誰にもわかりません。大地震が発生して万単位の人が亡くなったのだって、たった数年前の出来事です。

あとは、例えば台湾で家庭を築いたとして、あなたの親は孫にほとんど会えなかったりするわけです。私も昔は、そういうのは些細な問題だと思っていました。でも、年をとると、案外考え方とか価値観って変化するものです。

少し別の角度から考えてみると、他にもいろいろと細かいことがあります。日本にある資産、例えば、親が亡くなった後の実家はどうするのかとか、お墓はどうするのかとか、子供の国籍についてどう考えるのかとか、細かくて面倒な問題はいろいろと想定されます。

ということで、数年間台湾で働いて日本に帰るつもりなら問題ないのですが、「一生台湾で暮らす」となると、またそれはそれで厄介な問題がいろいろとあるわけです。

私の知り合いの中には、20代で台湾人男性と結婚した日本人女性がいたりしますが、親のことはどう考えているのだろうか、、、とつい気になってしまいます。決して豊かな家庭の出身ではないようですし、その女性は一人っ子ですし、、、

 

経験者として伝えたいこと


少し重苦しいテーマだなと、今更ながら思うわけですが、一度きりの人生ですから、とにかく後悔のない生き方をしていただきたいなと思うわけです。

現在進行形で台湾現地採用労働者をしている私から、最後に一つ伝えたいこととしては、最終的な判断を下す前に、「短期」、「中期」、「長期」の人生プランを立てることが非常に大事だということです。

計画を立てたって、なかなか思い通りにはならないものですが、それすら立てられないような未熟な人間は、母国でおとなしくしていた方が良いような気がします。

正直なところ、この数年間、しんどいことも多かったです。日本でクレジットカードを作ろうとして、ショボい平カードなのに審査で落とされたり、日本の役所で馬鹿にされたり、空港の税関の係員に笑われたり。他にも、台湾人に、「台湾には将来日本で働くことを夢見ている人がたくさんいるのに、いったい日本人が何しに来たの?」と苦笑いされたことがあります。さすがにショックが強過ぎて、だいぶ前の話ですが、今でも思い出すだけで腹が立ちます。

書いていて虚しくなってきたので、そろそろ終わりにしますが、せっかく皆さんは日本に生まれたわけですから、給与水準の低い国には、旅行や出張、駐在、留学で行くくらいに留めておくのが賢い選択だと思います。

それでも台湾に現地採用で来るなんていう人がいたら、酒でも飲みながらじっくり話をしたいですね。私にも、そういう人にしか言いたくないことがありますから。