この時期になるといつも思うことがあります。ブログのような媒体で個人的に訴えるのは初めてなのですが、あまりにも多くの日本人が絡んだ話なので、思いきって書くことにします。
毎年多くの日本人観光客が参加するランタンフェスティバル（新北市平溪天燈節）
台湾で毎年開催されるお祭りの一つに「ランタンフェスティバル（新北市平溪天燈節）」というものがあります。非常に有名なお祭りですから、今これを読んでいる方の中にはご存知の方も多いかと思います。聞いたことがないという方は、google画像検索のリンクを貼っておきますから、ぜひ見てみてください。幻想的で、ものすごく綺麗ですよね。画像を見た後で、googleで普通に検索した場合の結果についても見てみてください。「Naverまとめ」やら「台北ナビ」やら各種旅行サイトやらのホームページがわらわらとヒットするのがわかります。そのくらい日本人によく認知されていて、ファンも多く、毎年これが目的の日本人観光客が大量に台湾にやってきます。
なぜ台湾にはこのお祭りの廃止を訴える人がたくさんいるのか？
実は、日本にお住まいの方の多くは知らないようですが、台湾にはこのお祭りの廃止を訴える人がたくさんいます。私が台湾に移ってきた最初の年、「こういうお祭りがあるらしいから行ってみたいんだけれど、行き方を教えてくれない？」と職場の同僚に笑顔で話しかけたところ、相手の表情が一気に変わりました。その瞬間のことを今でもよく覚えています。「現実を教えてあげるからちょっと来て欲しい」とパソコンの前に案内され、いくつかのホームページを見せられました。ランタンと一緒に写った鳥の死骸の写真ばかりでした。他にも、ランタンによって家が燃えた跡の写真、大量のゴミとなったランタンの写真などが載っていました。同僚曰く、「ゴミは片付ければ済むからまだいい。でも鳥が死ぬのだけはどうしても許せない。」
こちらの写真は、台湾のあるニュースサイトで公開された記事（http://www.ettoday.net/news/20150225/470714.htm）からの転載です。
もう私の言いたいことはご理解いただけたかと思います。
空に上げたランタンを啄んだ鳥が死んだり、落ちてきたランタンによって家が燃えたり、衝撃で家の一部が壊れたりするわけです。祭りの後に大量に残るゴミも大きな問題ですが、日本で毎年行われている花火大会やハロウィーン関係のイベントの後にもおぞましい量のゴミが散らかっているわけで、日本人にとってはあまり気にならないのかもしれません。
ということで、このお祭りのせいで出る大量のゴミには仮に目を瞑ったとしても、やはりどうしても私には「害」の方が大きいような気がします。
以前の記事でも書きましたが、台湾の給与水準は日本の半分程度ですから、こういった観光資源というのは本当に貴重なわけです。会場となっているのは台北の市街地などではなくて、新北市という郊外、言い方を変えれば田舎でして、たくさんの日本人観光客がやってくれば、ある程度お金も落としていきますから、このイベントを有り難く思っている人もたくさんいるわけです。ただ、少なくとも私の周りには、「絶対に行かない！」と言っている人がたくさんいます。ですから、私も行きません。私や同僚たちが参加しないからといって、イベントが近いうちに廃止になることもないのでしょうが、みなさんにこの事実だけはお伝えしておきたいと思い、記事にすることにした次第です。
最後に
外からは見えにくいことって、本当にめちゃくちゃ多いです。比較的似たような例としては、例えば、「日本人は哺乳類であるクジラを食べる」と思っている外国人はけっこう多いです。皆さんは食べたことありますか？ では次に、こんな話を耳にしたことはありませんか？ 「中国人は犬を食べる」だとか、「中国では普通に犬の肉を売っている」といった類いです。私の周りには中国人もたくさんいますから、出身地の違う何人もの人たちに「本当なの？」と聞いてみました。すると、「え！？そうだったの！？」なんて話がいろいろとあったりするわけです。
「正しく知る」というのは本当に難しいことです。人間の「思い込み」というのは想像以上に強いものですから。あとは、「クジラを食べるような国の人間が鳥の心配するのはおかしい！」とか、「毎日のように牛や豚やチキン食ってるやつが言っても意味ないよ」なんて言われたら、どう返すのがいいんでしょうかね。
ちなみに、「ランタンフェスティバルに参加するべきではない」と言っているわけではありません。既に参加を計画済みの方は、ぜひ楽しんできてください。私としてはあくまで、「こういった側面もありますよ」と言いたいだけです。
