元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

(アフターコロナ)終息後の世界

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが終息した後には、一体どんな世界が待っているのでしょうか。

 

現状とこれから


本日2020年4月8日はちょっと特別な日になりました。中国では武漢の封鎖が解除され、日本では緊急事態宣言が昨日発令され本日0時より有効になったのです。


専門家たちの言っていることが正しければ、今回のコロナは高温高湿な環境でも元気、そして「全国民の6〜7割が感染するまでは収束には向かわない」とのことですから、もちろん日本ではまだまだ長丁場になることが予想されます。


ただ、日本ではこれまで中国や欧米諸国が実行したような都市の封鎖(いわゆるロックダウン)はしなかったにも関わらず死者数の爆発的増加は起きていませんから、より厳格な対応にシフトした今、これからそれが起こるとは考え難いです。日本人は手洗い、消毒、マスク着用等の個人レベルでできる対策をしっかりと実行していますから、諸外国以上にゆっくりとしたペースで今後感染が拡大していく可能性が高いと私は考えています。


やはり肝になるのは「休校」と「不要不急の外出自粛」の要請解除のタイミングですが、半年も1年も休校を続けることは現実的ではないわけで、多少の延長の可能性はあるにしても、ゴールデンウィーク明け以降は順次解除されることになるのではないでしょうか。


そして多くの人たちが気になっているのは「一体いつになったら『終息』するのか?」という問いに対する答えなのでしょうが、専門家の言っていることが正しければ「数年先」ということになります。どこかで感染拡大のスピードのピークは過ぎることになるわけですが、ほとんどの国民が感染するまで感染の拡大自体は終わりません。「ワクチンの完成がゴール」と言っている人もいますが、「どんなに早くても完成までには2年はかかる」と言っている専門家もいます。おそらくワクチンが完成する頃には、既に感染したことで免疫ができている、つまり抗体を持っている日本人も多くいるはずです。そういう人たちに接種しても無意味ですし、そもそもインフルエンザの予防接種と同じで全国民に接種するような類のワクチンにはならないでしょうから、高齢者や持病がある人、医療従事者などが主な対象となるのではないでしょうか。


欧米諸国では既に検討が進められているようですが、日本でもどこかのタイミングで抗体検査を実施することが重要だと思います。特に日本ではこれまであまりPCR検査をやってこなかったため、実際に感染した人がどのくらいいるのかが現状では全くわかりません。感染しても治ってしまえばPCR検査では陰性となるわけですが、抗体検査をすれば過去に感染したかどうかがわかります。

 

「終息」ではなく「収束」を


今後の展開や復興のシナリオを考える上で、まずは「終息」という言葉を「収束」に置き換えることが、少なくとも日本においては特に重要だと私は考えています。


繰り返しになりますが、半年や1年もの間、休校や外出自粛の要請を維持することは現実的ではありません。「感染者がゼロの状態を2週間維持すること」などまず不可能です。ですから、「状況が悪化しているのか上向いているのか」、つまり「収束に向かっているのかどうか」という基準で我々は今後のことを考えるべきだと思うのです。


人命第一なのは当たり前として、経済へのダメージも日々深刻さを増しています。今後生活に困窮する国民も急速に増えて行くことが懸念されます。「政府は困窮者に支援を!」と皆叫んでいるわけですが、財源は税金です。つまり、公的な支援をするということは、我々の財布から勝手にお金が抜かれて行くのと同じわけです。既にGDPに対する割合で20%もの追加支出が決定している今、これから更に追加して出せるお金は限られています。ゴールデンウィークまではもう仕方がないとしても、その後は徐々に我々も意識を切り替えていく必要があるのではないでしょうか。

 

アフターコロナ


タイトルではあえて「終息後の世界」と書きましたが、実質的には「世界中に拡がったパニックが収まり、通常通りの生活が営めるようになった世界」という意味です。さて、一体どんな世界がそこには待っているのでしょうか。思いつくことを以下、順番に挙げていきたいと思います。

 

経済格差の拡大


日本では既にコロナが原因の倒産が発生しています。もちろんビジネスの内容に依りますが、今後も特に体力のない中小企業はどんどん潰れていくことと思います。会社があるということはそこで働く従業員がいるということであり、その従業員には家族がいます。中流から貧困層へと落ちる人がたくさん出ることは間違いないかと思います。


ただその一方、大企業で働く人や多くの公務員は全くと言っていいほどダメージを受けていません。日常生活における外出の自粛や予定していた旅行のキャンセルにより、逆にお金が貯まったという人も多いのではないでしょうか。


そんなわけで、「皆が貧しくなる」のではなく、「経済格差が拡大する」ことになるのだと予想できます。

 

職業志向の変化


上述の現状を見ていてわかるわけですが、よくネット上では「社畜」などと呼ばれ夢のない地味な職業として認識されがちな「サラリーマン」が今回は強いわけです。現在でも基本的には普段通りの勤務が可能ですから、いつもと変わらない給料がいつもと同じ日に振り込まれているはずです。また、ネット上では「テレワーク最高!」なんて声も散見されます。


真っ先にカットされるのはやはりアルバイト、パート、派遣社員、契約社員等のいわゆる非正規雇用の人たちですから、経営状態がそこそこまともな会社の正社員や公務員は本当に強いです。逆に、例えば飲食業界などは大変なダメージを受けています。ライブハウスをオープンした途端にコロナ禍に襲われた人もいますし、業務の内容によってはフリーランスの人たちも今回は大きなダメージを受けています。したがって、ごく普通のサラリーマンがやっぱり一番、なんて思った若者も多いのではないでしょうか。


あとは、外出自粛の影響が大きいわけですが、YouTuber等のネット上で稼いでいる人たちも強いですね。より一層YouTuberへの憧れが強くなった若者も多いはずです。また、医療従事者の株も一気に上がりましたね。やはり人から必要とされ感謝される仕事というのはいいなと私ですら思いました。


全体として、今回のような有事を経験してしまうと、職業選択においては「安定志向」の人が増えるのかなと思います。私は実は真逆で、人生は旅だ冒険だと普段から言っているわけですが、その結果、現在北京で身動きが取れなくなってしまっています。

 

消費の冷え込み


今回のようなことがあると、なかなかお金が使えなくなりますよね。一寸先は闇というか、本当に来週や来月何が起こるかわからないわけで、これまで以上に「備え」に力を入れなくては、と私は感じました。コロナショックが沈静化した後も、消費の冷え込みはしばらく続くだろうと私は予想しています。

 

デフレ


内部留保が多いことで知られている日本の企業なわけですが、今回はその内部留保が大活躍してしまったわけです。「やっぱり有事への備えは大事」となってしまったわけで、「安定した雇用の継続のため、従業員の賃金上昇よりも会社の体力増強が優先」と考える経営者が増えるのではないでしょうか。


賃金の上昇など当分は考えられません。消費の冷え込みはデフレを引き起こしますから、近年日銀が試みてきたインフレの実現などは先の先の話となります。デフレは国そのものの価値の低下も意味しますから恐ろしいです。おそらく経済における復興のスピードは中国が断トツで速いでしょうから、相対的に安くなった日本の土地が中国人に大量に買われて侵食が進む可能性が高い気がします。

 

オリンピックが鍵


コロナにより経済が大きく弱るのは確実ですが、日本には一つ希望の光があります。それが2021年7~8月に開催が予定されている「東京オリンピック」です。


「余計な税金を使わないためにも中止にして欲しい」なんて声も最近では聞こえてくるわけですが、むしろ今の日本にはお金が必要だからこそ開催しなくてはならないのです。「平和の祭典」などとも呼ばれているわけですが、なんだかんだ言って、オリンピックには人々の気持ちや雰囲気を大きく変える爆発力があります。これを利用することで経済のV字回復を狙うのが順当なのは言うまでもありません。


問題は、コロナショック沈静化にかかる時間です。収束があまり後ろにズレ込むと再延期や中止の可能性が出てきてしまうわけで、やはり遅くとも年内には世界全体の状況が落ち着いていることが望まれます。

 

海外旅行への意識の変化


現在非常に多くの国が入国制限を課していますし、「海外=危険」というイメージを持っている方も非常に多いことかと思います。また、欧米諸国ではアジア人(※欧米人にとっては日中韓は見た目では区別がつきません)に対するヘイトアクションが問題になっており、暴行事件も既に発生しています。


こうなってくると、どうしても海外旅行への志向は全体的に弱くなっていってしまいます。長年海外で暮らしている当サイトの管理人からすると、やはり残念なことだなと思うわけです。


しばらくはインバウンドには期待できませんから、旅好きな日本人は主に国内旅行を楽しんで内需の面から観光業界を支えるべきだとは思います。ただそれとは別に、あまり遠くないうちに、再び日本人が海外旅行を安心して楽しめる状況が戻ってくるといいなとも私は思っています。

 

日中米関係の拗れ


これは個人的にはあまり積極的に書きたいとは思わない話ですが、ほぼ間違いなく起こるであろう話なので書いておきます。


コロナ問題沈静化後、中米貿易戦争が再び始まることでしょう。トランプさんは選挙のこともあって特に昨年の後半は大人しくしていたわけですが、今年の大統領選挙で再選が決まればすぐさま中国への攻撃を再開するでしょう。そしてそこに今度はコロナに関する責任追及が加わるわけです。


日本人は前回の貿易戦争の時と同じように、アメリカを応援し、ネット上には再び中国へのヘイトスピーチが溢れることでしょう。しかしながら、そういうことをしてしまうと、中国人訪日客のインバウンド需要で成り立っていたような業界は更にダメージを受けることになります。また特に近年は、私のように「貧富の差を拡大させるだけのアメリカ式資本主義は間違っている」なんて考えている人(※最近のアメリカの若者の中にもそういう考えの人は多い)もそれなりにいますから、コロナが着火剤になり色々と関係が拗れる可能性も高い気がします。

 

もっと新しいコロナ


個人的には、21世紀は人類の存続をかけた「自然災害」と「疫病」との戦いの世紀になると考えています。


ここ数年、日本の気象、特に台風やゲリラ豪雨に関して明らかに異常なレベルの被害が頻発するようになりました。皆さんは、何かがおかしいと思いませんか? 「地球が悲鳴を上げている」と言ったら大袈裟でしょうか?


1万人以上が亡くなった東日本大震災が起きたのもたった9年前の話です。その前には阪神・淡路大震災がありました。必ずそのうちまた大地震も発生するでしょう。


そして現在我々は新型コロナで大騒ぎをしているわけですが、自然界にはまだまだ未知のコロナウイルスがたくさん存在しています。人間に感染するのに必要な「変異」がまだ起きていないだけです。今回のコロナの後には、もっと新しいコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-3やSARS-CoV-4)が登場し、それらが引き起こす感染症が「COVID-25」や「COVID-30」なんて呼ばれる日が来るかもしれません。

 

終わりに


以上ざっと思いつくことを書いてみましたが、皆さんはどんな感想をお持ちでしょうか。


個人的には、本当に今自分はとんでもない時代を生きているなと思います。地下鉄サリン事件で宗教の恐ろしさ、人間という生き物の不気味さに触れ、9.11で戦慄し、リーマンショックで全財産を失い、3.11で地球に揺さ振られ、2020年の今年は未知の疫病のパンデミックにより北京にて14日間も隔離(いわゆる自己隔離ではなく集中観察)されました。


私は何歳まで生きられるのかわかりませんが、残りの時間で何も起こらないと思う方が不自然です。今はコロナのことに集中すれば良いとは思いますが、沈静化してしばらく経てばきっとまた何かが起こることでしょう。


志村けんが短期間であっさり亡くなってしまった現実は、「『明日』なんてやってこないかもしれない」という誰もが認めたくない真実を私に突きつけました。


日々の一瞬一瞬を大切に噛み締めながら生きること、周囲の人や縁、今自分が置かれている環境に感謝しながら、一生懸命生きることが大事なのだろうなと、最近はそんなことを思っています。


永遠に晴れの日が続くこともありませんが、止まない雨というのもやはり存在しません。閉塞感に苛まれる毎日ではありますが、みんなで協力し合いつつ何とか乗り越えたいものですね。皆さんも体調管理にはくれぐれも留意なさってください。