元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

管理人が「日台友好」及び「親日」という表現を嫌う理由

嫌い


どうもまだ「台湾好き=中国嫌い」と思い込んでいる人たちが多いようなので、当サイト管理人の意見を簡単に述べてみたいと思います。

 

日台友好系グループから学んだこと


実は私、ブログ以外にもFacebookとTwitter(@superflyer2015)をやっています。

 

taiwanlover.hatenablog.com


特にTwitterの方では、これまでにいろんな方からブログ運営に関する応援のメッセージをいただきました。飽き性の私が今日までブログ更新を続けてこれたのも、彼ら彼女らの支えのおかげです。この場を借りて、あらためてお礼申し上げたいと思います。

一方、Facebookの方はTwitterとはだいぶ使い勝手が異なりますね。Twitterよりももっと能動的にアクションを起こさないとなかなか楽しめないような気がします。ということで、Facebook上にあるいわゆる「日台友好」系のグループにいくつか加入し、ここ数ヶ月間、様々な投稿を目にしてきました。

誰かがマンゴーかき氷の写真をアップして、「本当に美味しいよね〜」、「この写真のせいで台湾行きの航空券をポチってしまいました!」といったような温かい感じの馴れ合いも多く、そういうのは台湾在住日本人として、見ていて素直にニヤニヤしてしまいます(笑)

しかし、グループメンバーの異常性というか、いわゆる典型的なヘイトスピーチを目にすることが決して少なくないのもまた事実です。

 

日台友好がもたらすヘイトスピーチ


例えば、分かりやすい例を挙げると、最近話題になった元台北市議会議員による「八田与一氏の銅像破壊」及び「狛犬の石像破壊」に対するグループ内での投稿です。

「ひどいことをする奴がいるもんだ、、、」、「酷い。ただただ悲しい。」といったコメントは言うまでもなくもっともです。

ただ、「こいつは台湾人じゃない。中国人だ。」、「中共に弱みでも握られているのでは?」なんていうコメントも少なくないのです。日本人、台湾人共に、こういった書き込みをしている人がいます。

もちろん、これらはただのヘイトスピーチでしかありません。

私は以前、当ブログの記事で「人材の採用過程で候補者のFacebookをチェックする採用担当者がいる」件について批判をしましたが、もしかしたらそれなりに意味のある行為なのかもしれない、、、と思えてきました。Facebookなんて基本的にはみんな本名でやっているわけで、本名で平気でヘイトスピーチをするような候補者は、会社的にはリスク因子でしかないでしょう。

例えば、何年も台湾に住んでいる私が「台湾政府批判」を書いたら、きっと少しくらいは説得力があるでしょう。でも、中国批判をしている人たちは、中国に住んだことはないわけです。百歩譲って、住まないまでも、おそらくは中国人の友人すらいないのでしょう。いたらそんな根も葉もないヘイトスピーチができるわけがありません。

 

管理人の考え方


私の個人的な考え方を書いておきますが、一言で言ってしまえば、「国単位での批判にはさすがに無理がある」です。

私は台湾に数年間住みましたから、いろんな台湾人を見てきました。ですから、「台湾では、、、」とか「台湾人は、、、」等の物言いがいかに困難であるかを理解しているつもりです。

すごく大雑把な表現として、例えば「寛容な社会」だとは思いますが、待ち合わせ時刻に遅れてくる人が多かったりして「台湾人は時間にルーズ」だとも思います。でも、細かいことをやたらと気にする神経質な同僚もいますし、待ち合わせ時刻の5分前には常に到着している人も知っています。ですから、超大人数を一括りにして語るのはやっぱり無意味だなと思うのです。

日本人も同じです。最近は時間にルーズな人もすごく増えているし、仕事が雑な人も多いです。親が中国人で親の故郷を「自分のルーツ」だといつも言っている私の台湾人の上司の前で、「いやぁ〜台湾はやっぱりいいですね! 大陸とは大違いですよ!」なんて言った日本人のお客さんもいました。彼は東大法学部卒のエリートで、取引先の幹部です。私の上司は「まあ確かに、いろいろと違いはありますよね」なんて言って笑っていましたが、私はもう変な汗が止まりませんでした。後日、上司に「日本人として恥ずかしい」と伝えたところ、「あのような考えの日本人が多いことは理解している。問題ない。」と言われました。上司の対応があまりにも大人過ぎて、未熟な私としては、もうとにかく悔しくて悔しくて、、、

私は別に中国に関して詳しいわけではありませんが、うちの会社には中国人もたくさんいて、長い間一緒に仕事をしてきました。民主主義と共産主義に関して議論を交わし、「中国の共産主義がいかに民主主義寄りの共産主義であるか」といった話も聞いたことがあります。特に興味深かったのは、「政府の幹部のほとんどはアメリカの大学卒で、連中はそもそも民主主義ベースの教育を受けている」という話だったりもします。「政府と軍部の間にある深刻な問題」についても聞きました。

一方日本に目をやれば、自民党及び安倍さんのやっていることの多くは間違っていないと私は考えますし、外国人が代表をやってるような政党にはそもそも関心すらありません。ただ、税金の使い方なんかに関しては非常に強い不満を持っています。また、安倍さんはともかくとして、彼の仲間たちの中には能力が十分でない方が多いなとも思っています。

では台湾はどうか。私は馬英九氏のやり方は絶対に間違っていると思っていましたが、今の総統も好きではありません。彼女は私が所属している業界への補助金を大幅にカットし、結果として別会社の知り合いはリストラの一環でクビになってしまいました。彼は「台湾に未来はない。近い将来なくなると確信している。」と言い残して台湾を去りました。

こういうことを書くと、「各論に意味はない」などと言う人が必ず現れるわけですが、私は一人のちっぽけな人間ですから、「国」とか「民族」とか、そういうデカい単位で語ることは不可能だと自覚しています。正確には、上に書いた通り、「そんなことにそもそも意味はない」と考えているわけですが。

ということで、私は特に「親日」でも「親台」でもなければ「親中」でもありません。また、それらの国に対して嫌悪感も持っていません。例えば、韓国に関して言えば、慰安婦像のニュースを見る度に、「日本旅行大好きなくせに、毎回ケチばかりつけて、矛盾だらけの国だな」とは思いますが、そもそも私は韓国には行ったことがないので詳細は不明です。ただ、少し前まで職場にいた韓国人は台湾人の同僚たちとは違って酒好きでしたから、たまに一緒に飲んだりしていい時間を過ごさせてもらいました。彼はいつもやたらと奢ろうとしてくるのですが、まるで日本人みたいだなと感じました。

 

「日台友好」及び「親日」について


実は、関連する話は過去にも書いたことがあります。

 

taiwanlover.hatenablog.com

同じ発言を繰り返しても仕方ないので、要点だけ書きますが、「台湾好き=中国嫌い」といった関係式や「台湾人は中国人が嫌い」といったステートメントは一般的には正しくありません。同様に、「親日=嫌中」というのも一般的には成り立ちません。

数万人が参加するFacebookの日台友好系グループで、少なくないメンバーが平気で第三国批判をする。私のように冷めているリアルな在住者的には、強い違和感を感じます。

「日台友好」、実に聞こえの良い言葉です。再び百歩譲って、こう書かせてください。「とりあえず第三国の批判はやめませんか? 台湾は中国ではないんでしょ?」と。

彼らが中国批判を露骨に書くことの背景に「台湾独立が未だ実現しないことへのストレス」等があることももちろん理解しています。

私は「内政干渉」は強く批判されるべきことと考えており、台湾の独立に関しては台湾人が考えるべき問題だと思っていますから、ああいったグループ内で日本人が「俺たちは台湾の味方だよ!」なんて言っているのを見ても、やはり違和感しか感じません。

まあでも、全部引っ括めて「表現の自由」ですから、私がとやかく言う問題ではないのかもしれません。「嫌なら見るな」ということで、私は今後Facebookは基本的に見ないことにしようと思います。とりあえず、皆さんには「勘違い」だけはして欲しくないなと思い、今回筆をとった次第です。

最後に、すごく個人的なメッセージを書いて終わりにしようと思います。

みんなもっと仲良くしましょうよ。
日台友好とか親日とか、そういうセコいことばかり言っていないで、誰に接する際にもまずは相手のことを尊重しましょう。
人を呪わば穴二つ。批判は、十分に勉強して関連事項の理解を深めた上で、覚悟を持ってしましょう。
こんな感じの「綺麗事」が、最近のネットの世界にはちょっと不足している気がします。