元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

飛行機の機内でのマスク着用は必要? 義務化しない(できない)理由は?

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「新しい生活様式」とは言うものの、現実には解決の難しい問題がたくさんあります。
今回はその中の一つである「飛行機の機内におけるマスク着用」の問題について考えてみたいと思います。

 

機内でのマスク着用問題


最近日本では、飛行機の機内でマスクを着用しない乗客がトラブルを起こす事案が発生しており、度々ニュースになっています。


多くの人はそういったニュースを目にして反射的にこう思うことでしょう。
「そんな奴は飛行機に乗るな!」
「他の乗客がコロナに感染したら責任取れるのか!」


私は飛行機旅行が大好きで、コロナ騒動前の昨年までは毎月のように国際線を利用していたくらいですから、マナーの悪い乗客は大嫌いです。ただ、なぜいい年をした大人がそんなトラブルを起こすのだろうか?と、少々気になり今回改めて考えてみました。


そもそもなぜそんな乗客の搭乗を許可したのだろうかと思い調べてみたのですが、どうやら機内でのマスク着用はあくまで航空会社からの「お願い」であって「義務」ではないようなのです。まあそもそも、そういう法律があるわけではありませんから、当たり前と言えばそうなのですが。実際、全日本空輸(ANA)のホームページにはこのように記載されています。

 

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肝になるのは、世の中にはマスク着用が現実的には「不可能」な人もたくさんいるということです。例えば、乳児にマスクをさせるわけにはいきませんし、幼児でも難しいケースが多いでしょう。幼い子供の場合、噛み癖のような変な癖がついたり、口呼吸が増えることによる害など、色々と指摘している専門家も多いようです。ただまあ、子供がマスクをしていなかったからと言って文句を言う大人はいないわけで、言うまでもなく、問題はマスクを着用していない大人です。

 

マスク着用が不可能な大人


しかしながら実際のところ、大人でもマスクの着用が難しいというか、実質的に「不可能」な方というのは少なくなく、特に言われているのは「感覚過敏」の人たちです。マスクをすると肌に過剰な刺激を感じたり、頭痛がしたり、中にはマスクをしている人を見ていると強い不安を感じるという方もいます。感覚過敏の症状のみの人がいれば、その背景に発達障害があったり、精神疾患があったりと、深いところにある理由は本当に様々なようです。


ちなみに、メディアはそういった人たちのことを「マスク着用が苦手な人」などと表現していますが、私はこの表現は間違っていると思います。中には無理に着用するとパニックを起こすような人も決して少なくないわけで、「苦手」ではなく「不可能」もしくは「無理」と表現すべきです。無理なものは無理なのです。それに、「『苦手』な程度なら、こういうご時世だし少しくらい我慢しろよ」という話になってしまうわけで。

 

確認方法とプライバシー


もちろん、航空会社側もそういった人たちが存在することを知っています。ですから、マスクを着用しない乗客に対しては「理由」を求めているわけです。


ニュースになっている事案というのは基本的に、当該の乗客が理由の説明を拒否したり、客室乗務員(CA)さんに対し激昂し暴れたりしたケースです。


これを知ると、やはりその乗客に問題があるな、、、とつい思いそうになるわけですが、問題は、「どの程度詳しく説明する必要があるのか」なのではないでしょうか。


「私、感覚過敏でマスクが苦手なので」と言って「そうですか、わかりました」となるのなら簡単なわけですが、それでOKなら皆その手を使えばマスク着用を回避できるということになってしまいます。しかしながら例えば、医師の診断書の提出を求められるのであれば、やはりちょっと行き過ぎのような、、、という気もします。欧米の一部の国のように既に何万人も死者が出ているのであればそれも正当化されるでしょうが、日本の状況を見ればどれだけ大袈裟に言っても風邪以上インフルエンザ未満であることは間違いありません。そこまでの対応は正当化できないだろうなと。


それにそもそも、欧米発の近代的な人権思想に照らし合わせれば、健康関係の情報というのは個人情報の中でも特に守られるべき非常に秘匿性の高い情報であり、いくら保安要員でもあるとは言え、それを民間企業の一社員が利用客に要求するという行為が容易に正当化されるとは思えません。


とまあそんなわけで、ANAやJALの実際のオペレーションの内容まではわかりませんが、この問題は奥が深いというか、航空会社側からしたら極めて厄介な問題なのだろうなと。

 

義務化できない理由


ということで、個人的には、「マスク着用の義務化」は現実的ではないと考えています。
「義務化のための法整備を!」
「着用を拒否する者には罰則を!」
なんて言っている人たちもいますが、己の無知を恥ずかしく思わないのだろうかと思うと同時に、そうやって能天気に生きられたらどれだけ楽だろうかと羨ましくなります。


言うまでもなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の致死率がエボラ出血熱のそれのような高さであれば、マスク着用は義務化すべきに決まっていますし、罰則規定の整備も当然なされるべきです。マスク着用が不可能な少数の人たちを守ろうとした結果、何十万人何百万人の死者が出てしまっては話になりませんから。


日本の人口を考えれば、現在の統計データから推定される年間あたり2,000人程度(しかもほとんどが高齢者)の死者数というのは誤差みたいなものです。上述のようなマスクの着用が現実的ではない人たちがいることを考慮すれば、航空機の機内に限定しても、マスク着用の義務化(ルール化)などできるはずがないのです。


ちなみに、日本のメディアは基本的に左寄りですから、国民の恐怖心を煽るための情報しか報道しませんが、航空機には非常に洗練された換気機能が備わっており、その辺にある会社のオフィスよりも安全とすら言えます。そういった意味でも、旅客機の機内が特別危険な場所であると考えるのはそもそも間違っています。

 

今後の展望


機内に限らず、マスク着用への社会的圧力はそう遠くないうちに間違いなく減衰していくと思います。


私は数ヶ月前からず〜っと当ブログを含め、いくつかのブログやSNSを通して主張してきたわけですが、新型コロナウイルスは今年の2月くらいの段階でその構造は科学的に完全に理解されていましたし、新種の風邪として未来永劫この世界に居続けることになるであろうと多くの科学者は考えていました。


当初は私の発言に誰も耳を傾けてはくれませんでした。台湾在住時代からずっと仲良くさせていただいてきたフォロワーさんの多くはこの半年間で去って行きました。


しかし、最近ではようやく、「コロナは消えて無くなるようなものではない」という現実を受け入れる人たちが増えてきました。ですから個人的には、最近になってようやく、本当の意味で事態は上向き始めたのかなと思っています。


コロナが未来永劫居続ける以上、マスク着用を義務化などしようものなら、我々は一生マスク姿で過ごさなければならなくなります。小池百合子さんは「新しい生活様式」とやらの推進に夢中になっていますが、「マスク着用」と「ソーシャルディスタンシング」の二つで日本は簡単に滅びます。なぜなら、この二つは少子化を想像すらできないレベルで強烈に加速する元凶になるからです。


人間というのは、濃厚接触によって生まれる生き物です。もっとも、彼女の提唱する新しい生活様式とやらに従って生きれば、濃厚接触どころかその何歩も手前にすら到達できずに終わりそうですが。


航空会社だって、そもそもマスクの着用など求めたくはないのです。私の親も言っていますが、「マスクをつけてまで旅行をしようとは思わない」という人は決して少なくないのではないでしょうか。私は国際線のビジネスクラスが大好きですが、マスクやフェイスガードをしたCAさんにシャンパンをサーブしてもらいたいとは思いません。


まあでも、多分大丈夫だと思います。状況は確実に上向いてきています。専門家曰く、新型コロナは季節性のものだそうで、秋冬には感染者が増加する可能性が高いそうです。メディアは水を得た魚のように大騒ぎし政権批判を続けることでしょうが、皆さんは是非冷静でいてください。もっとも、私が台湾を離れて以降も引き続きこのブログを訪れてくださっている皆さんは、間違いなくまともだとは思いますが。


ということで、皆さん、引き続き十分な睡眠と適度な運動を心がけ、栄養バランスの良い食事、特にたんぱく質は十分な量摂取してください。タバコは厳禁、お酒はほどほどに。正しいコロナ対策は「新しい生活様式」ではなく「規則正しい生活」であることを忘れずに、再び旅ができるようになる日が訪れるのを待ちましょう!