元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

Gedankenexperiment

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これから綴る文章の内容は、僕の頭の中のこと、、、


そう、ただの想像上の話、、、

 

設定


彼は30代のサラリーマン。どこにでもいるごく普通のサラリーマン。


ただ一つちょっとだけ普通と違うのは、海外で現地企業の直接雇用により働いているということ。もう少し書くと、中国の北京市にあるIT企業で彼は働いている。


家族構成は、同い年の奥さんに、5歳の娘さんが一人。


ただ彼らは一緒に暮らしてはいない。奥さんと娘さんは都内の賃貸アパートで暮らし、彼は単身赴任をしている。


異国の地での一人暮らしは彼にとって苦痛を伴うものであったことは確かだが、所詮は北京と東京、直航便の便数は多く、週末と有給休暇を組み合わせ比較的気軽に一時帰国することができた。約2か月ごとの一時帰国を楽しみに、彼は仕事に励んでいた。


そんな中、2020年1月、誰もが予想すらしなかったことが起きた。


そう、未知の疫病の世界的大流行。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きたのだ。


1月下旬、旧正月の連休を日本で家族と過ごしていた彼の元に届くニュースが伝える感染状況は日々悪化の一途を辿るばかり。しかし仕事は仕事、心配する奥さんに見送られ、彼は予定通り連休明けの2月上旬、北京に戻った。桜の花が散る前の再会を約束して。


その日から半年が過ぎた今でも、彼の一時帰国は実現していない。


現在は検疫が強化されていて、帰国すれば日本で14日間の隔離、中国に戻って来れば再度14日間の隔離が必要になる。帰って戻るだけで最低でも28日間の休暇を確保する必要があり、職責が日々増すばかりの30代のサラリーマンにとってそれは現実的ではない。


あの日から、結婚記念日が過ぎ、奥さんの誕生日が過ぎ、娘さんの誕生日も過ぎた。


父の日には、娘さんからの感謝の言葉に、涙をこらえてお礼を言って、、、


最近浴衣を買ってもらったそうで、それを大いに気に入った娘さんはお祭りでもないのに家の中で着てはその姿をビデオ通話で見せてくれるのだとか。


仕方ないと頭では理解しつつも、彼には女の子の父親として最高の時期を日々不本意な形で消費している自覚があった。

 

質問


彼は娘さんからの「パパはいつ帰ってくるの?」という質問に毎回「コロナがいなくなったらね」と答えていた。


しかしついに、彼女もその答えでは納得できなくなってきた。


そして昨晩、いつものようにビデオ通話をしていると彼女は急に怒り出した。


「一体いつになったらコロナはいなくなるの!」


彼は真面目に答えることにした。


「実はね、コロナはいなくなるようなものじゃないんだよ。ばい菌がどこにでもいるのと同じで、今回の新型コロナウイルスは風邪やインフルエンザの仲間だから、一度世界中に広まってしまった以上、これからもこの世界にずっと居続けるんだよ。」


すると彼女はすかさず、、、


「それじゃあ、パパはずっと帰ってこれないでしょ? いつになったら帰ってこれるの?」


彼は悩みつつもこう答えた。


「みんなが『もうコロナは仕方ない』って思うようになったら帰れると思う。それがいつになるのかはわからないけれど、少しでも早くそれが実現して欲しいって思っているよ。でもね、人の考え方や心を変えるのって本当に難しいことなんだよ。」


子供はある意味大人以上に賢いから恐ろしい。


「それじゃあ、やっぱりパパはもう帰ってこないってことでしょ!」

 

解決策?


さて、私の「gedankenexperiment」(思考実験)はここまでですが、あなたがもし「彼」だったら、どうしますか? 何かもう少し気の利いた言葉が言えますか?


我々は現在、一体何と戦っているのでしょうか?


専門家たちの意見を総合するに、真夏でも元気なコロナではありますが、これでも一応「季節性」だそうです。要は、秋以降は今以上に多くの感染者が出る可能性が高いということ。


繰り返しますが、あなたがもし「彼」だったら、どうしますか?


一体どうしたらこの問題は解決するのでしょうか、、、