元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

2020年の世界と私(新年のご挨拶にライムを添えて)

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皆さん、新年明けましておめでとうございます。


令和時代最初の年末年始、そしてお正月となったわけですが、世間は色々と騒がしいですね。


この「令和」ですが、外務省は海外向けにこの名称の意味は「Beautiful Harmony(ビューティフルハーモニー)」であると説明しています。ただ、最近のニュースを見ている限り、「ハーモニー」とは程遠い世の中になってきたように思います。どちらかと言えば「Chaos(カオス)」の方がリアルに近い気がします。


年末のカルロス・ゴーンの国外逃亡は衝撃的でした。パスポートなしでも国外に出れてしまうなんて、日本の出入国管理は一体どうなっているんだという話です。


そしてやはり何と言っても米イラン問題でしょう。数日前には「第三次世界大戦が起きるのでは?」なんて軽く騒ぎにもなっていました。


台湾に目を向ければ、年明け早々とんでもない事件がありました。軍用ヘリが墜落し8人が死亡したのです。しかもその8人の中に軍トップの参謀総長が含まれているというのですから驚きです。


直近では、やはり昨日の総統選ですね。大多数の予想通りに現職の蔡英文氏が再選を果たしましたが、まあ色々あったみたいです。


とまあそんなわけで、今回は新年最初の更新なわけですが、最近あった時事ニュースを中心にざっと振り返り2020年の世相を占いたいと思います。加えて、私のプライベートに関するご報告も少しだけさせていただこうかなと思っています。

 

ゴーンの国外逃亡


日本の富を貪ったことで罪に問われているカルロス・ゴーン容疑者が、2019年の年末に監視の目を掻い潜ってレバノンに国外逃亡をしました。


大きな箱の中に隠れることで出国審査を回避して飛行機に乗り込んだようですが、そんなザルな出入国管理が日本で行われていたということに私は衝撃を受けました。


この件に関しては私も関心が強く、ネットで色々と情報を漁っていたところ、以下のような穏やかでないタイトルのブログ記事を見つけました。まあ気持ちはわからなくもないよなと。

 

Gone - blacknote


奪われたのは「日本の富」ですから、日本人はもっと怒るべき事案だと思います。「盗人猛々しい」とは本当によく言ったものです。


少子化で若者がどんどん減っていく日本ではこれから政府主導で積極的に外国人労働者を受け入れていくことになります。ゴーンのような守銭奴ばかりが集まるような事態にならないとよいのですが。

 

米イラン問題


年始にはアメリカとイランの間の争いが激化しそうになりました。


最終的に、イランがイラク経由で米軍にミサイル攻撃を事前に通知するという苦笑いしたくなるようなプロレスで終わったから良かったものの、一時は「第三次世界大戦に発展するのでは?」なんていう騒動にもなりました。


「第三次世界大戦勃発時のチーム分け」がネット上で話題になっていましたが、日米側にはドイツやイギリス、サウジアラビアにイスラエルなどがつくのに対し、私が現在暮らしている中国はなんと敵国、味方はロシアやグレタ・トゥーンベリさんで有名なスウェーデンというから私はもう目眩がしました。これが海外で暮らすことの潜在的リスクであるということを痛感したのです。


更に特筆すべきは同時期に起きたウクライナの民間旅客機の墜落事件です。当初は「事故」との見方もありましたが、実際には「イラク軍の地対空ミサイルによる撃墜」でした。


想像してみてください。普通に旅客機に乗っていたらミサイルで撃墜されるんですよ。炎に包まれた旅客機が落下する様が目撃されたそうですが、爆死か焼死か、兎にも角にもこんなにまで絶望的な死に方は他にありません。


日本は関係ないとは言え、何が令和だ、何がビューティフルハーモニーだとつい思ってしまいました。現在を生きる我々は、「世の中」の「世」は世界のことだと解釈すべきでしょう。そういう意味では、現代は平和な世ではないのです。我々はまだ平和を手にしてはいないのです。


最後にこれは個人的なメッセージですが、皆さんも海外旅行をなさる際にはくれぐれも慎重に行き先を選んでください。皆さんが思っている以上に現在世界は生命リスクに溢れています。例えば、私は少し前に仕事でパリを訪れましたが、シャルル・ド・ゴール国際空港の構内に数多いる重装備の兵士たちを目にし、プライベートでこんな場所には絶対に来たくないなと思いました。連中からしたら一瞬でいつでも私を殺せるわけですから。連中が持っているライフルだって人が作ったものです。暴発の可能性だってあります。そんなわけで、私は先進国か発展途上国か、などといった次元の話をしているわけではないのです。

 

台湾の軍用ヘリ墜落


年始のこのニュースも本当に衝撃的でした。


2020年1月2日、台湾北東部の山中で13人が乗った空軍の多用途ヘリコプターUH60M「ブラックホーク」が墜落し8人が亡くなりました。その8人の中には軍トップの沈一鳴参謀総長も含まれています。


原因に関してはまだ解明されてはいませんが、機体のトラブルや乱気流などの気象要因ではなく、「人為的な何か」が原因だそうです。


軍の最高幹部が乗っているのに事故???


勝手に勘繰って何かここに書くつもりはありませんが、仮に本当にただの事故だとしたら、何とも台湾の軍隊は頼りないなと思わずにはいられません。


蔡英文氏は見た目は穏やかそうなごく普通の中年女性ですが、軍備の拡張には積極的です。弱る経済の中その予算を捻出するため、科学技術分野への補助金をカットしたり公務員の年金を減らしたりといったことをやっている訳で、個人的には何だかなとつい思ってしまうのです。

 

台湾の総統選


そんな事件で台湾全土が揺れる中、2020年1月11日、台湾(中華民国)政府のトップである総統を決める選挙が行われました。


結果は世間の予想通り現職の蔡英文氏の圧勝。次の4年間も彼女が台湾政府の舵取りをすることになります。


実はこの結果に対して、どうやら日本人やアメリカ人だけではなく中国人も喜んでいるようなのですが、このことはもちろん自明ではありません。一体なぜ大陸の人たちは今回の総統選において、中国国民党の韓国瑜氏よりも民主進歩党の蔡英文氏が当選する方が望ましいと考えたのでしょうか?


以下は私の個人的なコミュニケーションに基づいていますから、信じる信じないは皆さんにお任せしますし、特定の機関の総意ではないということだけご承知の上お読みください。


まず台湾サイドですが、先月台湾の教育界のお偉いさんに会った際に説明してくれました。今回の選挙は現職の蔡英文氏と高雄市長の韓国瑜氏の事実上一騎討ちだったけですが、だいぶ変わった選挙だったようです。なぜかと言うと、中国共産党の兄弟分である中国国民党の候補者、つまり韓国瑜氏が反中を掲げた、というか正確に言うと、中台統一への反対を声高に叫んだからです。ですからまあ言ってみれば、「反中派 vs 反中派」の戦いだったわけです。ちなみに、その方は親中派なので長年中国国民党を支持しているのですが、「今回は正直どちらにも投票する気になれない。どちらになっても台湾は益々貧しくなるだけ。」とおっしゃっていました。大韓民国が「反日」をやればやるほど経済が悪化するのと同じで、台湾は「反中」をやればやるほど経済が弱るのです。言うまでもなく、これは香港も同じです。


やはり香港デモの影響が大きかったのだと思います。あれが起きる前は、経済政策においてあまりにも悪手が多かった蔡英文氏を引きずり降ろそうという運動も非常に盛り上がっていましたから。今回、香港デモに触発された台湾の若者たちが積極的に投票に赴き蔡英文氏を強力にサポートしたということです。中国国民党所属の前総統である馬英九氏のことを思い出し、皆「どちらかと言えば民進党の方が安心」と考えたのではないでしょうか。


次に大陸サイドですが、もちろん本来なら、反中政策ばかり推し進めている民進党ではなく国民党の候補者の勝利を願うに決まっています。


知り合いの中国共産党のお偉いさんが言うには、韓国瑜氏のとある発言がどうにもこうにも許せなかったそうです。私は中国語は一切話せませんから、真に正確な表現はわかりませんが、なんでも彼は「統一したいのなら我々の屍を越えていけ」といったようなことを言ったそうなのです。要は、「台湾を中国に併合したいのなら台湾人を全員殺してからにしろ」ということです。この発言が大陸では大ニュースになったのだとか。


皆さんはおそらく台湾ファンだから当ブログをチェックされているのでしょうが、どのくらい中国史の知識がおありですか?


長くなるのでサラッとしか書きませんが、ちょっとだけ補足説明をさせていただきますね。中国共産党と中国国民党はかつて敵対関係にあったのだと思われている方も多いかと思いますが、それはあまり正しくなくて、どちらかと言えばやはり「兄弟分」というか「健全に議論し合った古い友達」といった感じの関係なのです。もうちょっと言うと、中国共産党は昔から一貫しているのですが、中国国民党にはかつて深刻な内部分裂が起き、そこから第三極が生まれその勢力が中国共産党と敵対した歴史があります。なので正確に言うと、中国国民党のメインストリームは中国共産党の敵ではない、ということになります。


ですから、韓国瑜氏のその発言はちょっとあり得ないというか、昔からの親友に配偶者なり恋人なりを寝取られたような、中国共産党的にはもうどうにもこうにも許せない裏切りだったようです。


これも中国史を勉強するとよく分かる事なのですが、中国には昔から独特の哲学があり、基本的に「仲間を疑う事」というのは非常に特別な事なのです。どんな組織にも構成員、つまりメンバーがいるわけですが、仲間に疑いをかけた場合、他のメンバー全員による調査と話し合いが行われます。そしてもしその疑いが晴れた場合、疑った者はけじめとして自害するルールになっているのです。(※もちろんこれは昔の話ですから、現在では生命を賭けるようなことは決してありません。)全く同じではありませんが、日本にもかつてあった「武士道」や、現在で言うところの「極道」、メキシコの「麻薬カルテル」なんかに似ていると言えるかもしれません。


この「合議制」を尊重する考えは現在の中国政府でも継承されています。習近平氏は確かに中国のリーダーですが、実は彼にはアメリカのトランプ大統領のように単独で何かを決定する権力は与えられていないのです。彼はあくまで中国共産党のリーダー(総書記)であるというだけで、いかなる政治上の判断も「中国共産党中央政治局常務委員会」における他の6名のメンバーと相談してなされる決まりになっているのです。このことを99.9%の日本人は知らないのでしょうが、皆さんは一生懸命こんな退屈なブログをお読みになっているわけですから是非覚えてお帰りください。次のテストで出るかもしれません。


話が逸れてしまいましたが、兎にも角にも、中国には歴史的に「裏切り者は許さない」という文化があるのです。そんなわけで、中国共産党のメンバーに色々と話を聞きましたが、「蔡英文は嫌いだけど、韓国瑜はもっと嫌い」ということのようです。なのでまあ、蔡英文氏の再選は「ベター」ということです。あとは、「韓国瑜が当選後にどう動くのかは現時点では読めないけれど、蔡英文の動きは読めるからこちらとしては中台統一に向けて動きやすい」と言っている人もいます。


最後に私の個人的な意見を書いておきますが、とりあえず蔡英文氏には次の4年間で経済政策を頑張って欲しいです。景気が極めて悪く、世界最低水準の出生率による超少子化が進む現状はあまりにも悲惨です。中台統一云々の前に、このままでは人口減少で台湾人がこの世界からいなくなってしまいます。兎にも角にも、今は経済政策に注力し、若者たちが「家庭を持つ」ということに積極的になれる社会作りを頑張る以外に台湾が生き残る道はありません。


「日本と似てるんだな〜」なんて思ったそこのあなた、その通り。私はよく家族や友人知人に話しているのですが、台湾って未来の日本なんですよ。

 

2020年の日本


さて、世界は日々目紛しく動いているわけですが、2020年はどんな年になるのでしょうか。


先日非常に興味深い記事を見つけたので、ここでシェアさせていただこうと思います。

 

sfcmiler.hatenablog.com


兎にも角にも今年は何と言っても「東京オリンピック」です。安倍晋三首相の任期も来年の9月までということで政治上の動きは今年は少なそうですし、日本人としてはとにかく日本人であることを楽しむべき年になるのではないでしょうか。


目先の懸案事項としては、上でリンクを貼った記事の主さんも指摘されていますが、今年11月のアメリカ大統領選の後、そして来年の安倍政権終了後の政治経済の行方でしょうね。現状、日本人のQoLはあまりにも強くマーケットにおける各種インデックス(日経平均やダウ平均など)に依存してしまっているので、個人的にはそれがとにかく心配です。


転職でも副業でも何でも良いのですが、「資本主義社会においてはお金が全て」という現実を念頭に置いた上で、日々有意義な時間の過ごし方をすることが重要なのではないでしょうか。


経済的に余裕のある方は、台湾にもぜひ積極的に遊びに行ってください。私は昨年は訪台できなかったので、今年は何とか時間を作って行ってきたいなと思っています。

 

私の2020年


私のプライベートになど皆さん興味はないかとは思いますが、実は今年、転職する予定です。既に内定を頂いており、着任時期も決まっています。そんなわけで、もう少ししたら北京から日本に引っ越します。


ただ、次の行き先や時期に関して、ブログに書くことなないと思います。当ブログの読者さんは、私が「東京 -> 台北 -> 北京」と移ってきたこと、そして大体の時期も知っているわけで、これ以上オープンにしたらさすがに身バレの可能性が高まるので。


身バレして困るようなことは基本的に書いていないと言えば書いていないのですが、身分を明かしてしまうと今回のような政治関係の記事、宗教関係、LGBT関係等のデリケートな話題に関しては書きづらくなってしまいます。私は収益目的でブログ運営をしているわけではないので、ここは自由に本音を綴れる場所として確保しておきたいのです。


そんなわけで、今年居住地は変わりますが、とりあえず今後もブロガー活動は続けていこうと思いますので、引き続きぜひご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

 

終わりに


今朝、シャワーを浴びている時に一つ頭に浮かんだ歌があるので、少々ジジ臭くて申し訳ないのですが、せっかくですからここに書かせてください。

 

ミライトワ 未だ聞こえぬ ハーモニー
太平の世は 未だ至らず


皆さんにとって、2020年が素晴らしい年でありますように!