台湾では結構深刻な事態になっています。
台湾新幹線(高鐡)とは?
ご存知の方も多いとは思いますが、台湾にも新幹線があります。
正式名称は「台灣高速鐵路」で、一般的には「高鐡」と呼ばれているのですが、日本の新幹線技術が投入されていますから、「新幹線」と呼ぶ人も少なくありません。車両は日本の700系を改良した700T型で、見た目も車内もまさに新幹線といった感じです。
開業は2007年で、元々は台北駅が北側の端だったのですが、今年、台北メトロ(MRT)や在来線(台鐡)の駅もある「南港駅」まで10km程延長され、7月から利用可能になりました。
チケットの購入方法や実際の車体の外観などに関しては、以前記事にしてご紹介しましたので、興味のある方は以下をご参照ください。
深刻な経営難
実は近年、台湾新幹線を運営する「台湾高速鉄路公司」は深刻な経営難に直面しているようで、度々「新幹線が潰れるかも!」なんて報道がなされています。いったい何が問題なのでしょうか?
一言で言ってしまえば、とにかく利用者が少ないのです。ではなぜ利用者が少ないのか? 理由としては以下の二つがあるのではないでしょうか。
- チケットが高い(もっと安い交通手段がある)
- 新幹線の駅へのアクセスが不便
まず、チケットの価格に関してなのですが、在来線(台鐡)と比べて結構高めに設定されているため、多少時間がかかっても在来線を利用しようとする人が多いのです。
例えば、「台北駅」から「台中駅」まで向かう場合を例に見てみましょう。
新幹線だと「約1時間で700元」、在来線の「自強號」(特急列車)だと「約2時間15分で374元」です。つまり、かかる時間もチケットの価格も、ざっくり言ってだいたい2倍異なります。そして実際のところ、こっちの人たちが1回の食事にかける金額が100元程度ですから、「片道で3食分が浮くなら在来線でいいや」なんて考える人がものすごく多いわけです。
あとは、台湾では高速バスが高度に発達していて、時間はかかりますが、結構どこにでも安価で行くことができます。これもまた新幹線利用者を減らすのに一役買っているのは間違いないような気がします。
次に「新幹線の駅へのアクセスが不便」という点についてですが、新幹線は在来線よりもだいぶ後に開業しましたから、在来線の駅と新幹線の駅はかなり離れていることが多いのです。在来線の駅は市街地にあることが多いため、一般的に言って、在来線を利用した方が駅までのアクセスの面で利点が大きかったりするわけです。例えば、「桃園駅」の場合など、在来線の駅周辺にはデパートがあったりと非常に栄えているのですが、新幹線の駅はそこからかなり離れた場所にありすごく不便です。結果的に、新幹線の駅に行くにもそれなりに時間とお金がかかってしまいますから、「そもそも新幹線を利用することにメリットがない」なんてケースも少なくないわけです。
あとは、特筆すべきだと個人的に思っているのは、「一部の在来線の質が高過ぎる」ということです。全席指定席である自強號のシートは非常に質が高くて快適(シートピッチにもかなり余裕がある)なので、あれに乗ってしまうと、「これで十分じゃん!」とつい思ってしまうわけです。ということで、私も実際のところ普段は在来線しか利用しませんから、まあ台湾人が新幹線を利用しないのももっともだなと思うわけです。最初の計画の段階で問題があったのでしょうね。
実際に台湾新幹線に乗ってみました
なぜ今回こんな記事を書こうと思ったのかと言うと、最近ちょっとした出張で平日の昼間に新幹線に乗ったところ、「深刻なレベルでヤバい」としか言えないような状況を目にしてしまったからです。
さあ、みなさん、これが現状です。
この車両に乗っていたのは、私以外には三人だけ。
もう写真取り放題でした。
うん、こりゃ潰れますよ。運行すればするほど赤字が膨らむのではないでしょうか。
ということで、みなさん、台湾にいらっしゃったら、ぜひ新幹線に乗っていってください。南港や台北から出発して、無駄に「左營(高雄)」まで往復したりしましょう。そうでもしないと、そう遠くないうちに乗りたくても乗れない日がやって来るかもしれません、、、