元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

台湾消滅を遅らせるために日本人ができること

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仮に、台湾消滅(中国による併合)までの残り時間を知らせる砂時計が存在するとしたら、ここ最近その砂は非常に勢いよく落ちていっているような気がします。
いったいその理由は何なのでしょうか?

 

習近平国家主席の任期撤廃


まず、最もインパクトが大きいのは間違いなくこれです。
中国政府は憲法を改正し、習近平国家主席の任期を撤廃したのです。つまり、理屈の上では、彼は生きている限り国のトップに居座り続けることが可能になりました。ですから、これで彼は実質的に「皇帝」になったのだと言う人もいます。

 

実は、これに関しては、私の周囲にいる中国共産党員の中にも「さすがに『撤廃』はやり過ぎでしょ。将来判断能力が落ちた際に混乱が生じる可能性が、、、」なんて言う人もいるくらい国内でも意見の分かれる話ではありました。ただまあ、そこは一党独裁国家。彼が望み、周囲の側近たちが賛同するのであれば、憲法の改正だって全くもって難しくはありません。現にすんなり改正できてしまいましたしね。

 

もしかしたら、「でも、それと台中関係とは別の話では?」なんて思われる方もいるかもしれませんが、知り合いの台湾人は「さすがにもうダメだろう」なんて言っています。どうやら、もともと習近平氏は台湾併合の実現に関してかなり強い興味を持っていたようなのです。以下、細かい話は割愛して大事なことだけ書くことにします。

 

あなたは、「政治家の最終目標」は何だと思いますか?

 

えっ!? 国を良くすること?

そんな馬鹿な、、、(笑)

 

もちろん、「教科書に永遠に名前が残ること」です。

 

要は、台湾併合は、彼にとって残された最後のワンピースなのです。

 

彼はこれまでの5年間のほぼ全てと言ってもよいくらいの時間を「汚職の一掃」に使いました。今でもかなりの人数の元政治家たちが牢屋の中にいます。ですから、彼のことを信頼している中国国民は非常に多く、ある種のヒーローのような存在とも言えます。

 

彼は普段ほとんど喋らない非常に寡黙な人であり、それらも全て「大いなる野望」を実現させるための布石なのだと言う人もいます。

 

私は仕事柄、「賢い人」というのをたくさん見てきましたが、最もスマートな人というのは本当に寡黙です。静かに黙って、「チャンス」を待っているものなのです。

 

「台湾旅行法」の成立


直近の話題としてはやはりこれでしょう。
今月の16日にアメリカでいわゆる「台湾旅行法案」が成立しました。この法案は既に下院及び上院で可決されていて、トランプ大統領の署名待ちだったのですが、その期限である16日に彼はサインをしたわけです。

 

これにより、安全保障関連の高官を含む政府の要人や行政機関の職員など、全ての地位の米政府当局者が台湾を訪れて台湾側の同等の役職の者と会談することができるようになり、逆に、台湾の高官がアメリカで当局者と会談することも可能になります。

 

言うまでもありませんが、これではまるで台湾(中華民国)を一つの独立国家として認めているみたいですよね。もちろん中国政府は大反発。「軍事行動を取る可能性もあるんですよ」(実際にそういう法律が中国にはある)的なステートメントを伴って今回の件を批判しています。

 

個人的には、、、やっぱりこの法案はちょっとおかしいような気がします。アメリカは1979年に台湾と断交していて、今でもそれは続いていますからね。こんなあからさまな法案を通してしまったら、もはや中国に喧嘩を売っていることに他なりません。あとは結局のところ、アメリカにとっては台湾なんてどうでもいい存在なのだなと。要は、アメリカにとって中国の台頭は脅威でしかないわけで、台湾を利用することで牽制しているわけです。今回の件を台湾人や日本人は喜んでいるようですが、中国を刺激して併合を加速するきっかけを増やしただけのように思えてなりません。

 

チャイニーズタイペイ?


番外編としてもう一つご紹介しましょう。
「チャイニーズタイペイ」という表現、皆さんは耳にしたことありますか?
ご存知な方も多いとは思いますが、台湾の選手がオリンピックに出場する際には、この名称での参加となります。もちろん、台湾は「国」ではないからです。

 

最近どうやら、「東京オリンピックには『台湾』として参加できるようにしよう!」という運動が盛り上がっているそうです。先日ニュース記事にもなっていましたね。この運動の発起人は元オリンピック選手で、活動を始めたきっかけは、「日本人から後押しされたから」なのだとか。

 

これに関しても、、、やはり個人的には「リスク」だとしか思えません。無駄に中国を刺激して、台湾併合を加速させる「きっかけ」及び「口実」を与えているだけだと思います。

 

彼女にこの運動を勧めた台湾ファンの日本人に言いたいことがあります。
「そんなに台湾を中国にしたいんですか?」

 

日本人にできること


とにかく我々日本人は、余計なことをするのはやめましょう。

 

私はこんなブログをやっているくらいですから、台湾が大好きです。現地では何年も暮らしましたから、「第二の故郷」に他なりません。

 

そんな私が、台湾人の知り合いたちとのコミュニケーション通して、様々な意見を加味した上で出した結論としては、「沈黙は金」です。敵に決して「きっかけ」を与えないことが戦略として最も重要なのです。

 

ですから、SNS等で連んで署名活動なんかに精を出している台湾ファンの方々には、ぜひ冷静になっていただきたいなと。良かれと思ってやったことで相手の首が徐々に締まっていったのでは、悲しいですよね。

 

我々日本人が台湾のためにできることは、やはり何度も台湾を訪れて、現地でお金を落とすことです。台湾は現状景気が悪く、給与水準も低くて少子化に歯止めがかからない危機的状況です。このままでは、放っておいても自然に消滅してしまいます。ですから、台湾にとって最も重要なのは、国をもっと豊かにして給与水準を上げ、若者が安心して結婚し子供を持てる社会を作ることなのです。我々が台湾のために何かしたいと思ったら、まずそのことをよく理解した上で行動に移す必要があります。

 

SNSで「いいね」するのは簡単だし、「応援しています!」、「台湾加油!」なんて書き込むのも本当に簡単です。10秒あれば足りるわけですから。そういったアクションを否定する気はありませんが、あなたが例えば貧困で苦しんでいたとして、「応援しています!」なんて言われて嬉しいかという話なのです。「応援しています!」と言うのと同時に現金を渡して初めて「応援」したことになるのです。よく震災関係で、「基本的な物資が足りず困っていた時にダンボールが送られてきて、喜んで開けたら千羽鶴だった」なんて話が話題に上がりますが、まあそういうことなのです。どうも日本人の中には「自己満足」しているだけの人が多いような気がしてなりません。

 

最後に


当ブログでは、同様のニュアンスの記事をこれまでに幾つか書いてきました。

 

私ももう、そろそろこういう系の記事を書くのはやめようかなと思う時も正直あります。ネガティブな内容の記事は、書いていて心が沈みますから。

 

ただでも、こういう意見を発信している人というのは本当に皆無と言ってよいほど他にはいないんですよね。現地で撮った小籠包の写真をアップして喜んでいるような人たちばかり。

 

私だって台湾グルメは大好きだし、台湾の魅力を発信することには意味があります。ただ、そういう面しか見ないでいると、いとも簡単に薄っぺらい人間になってしまいます。そうなると、結局のところ、ごくごく一部の賢い連中に自然と操られてしまうことになるのです。それが不幸かどうかはわかりませんが、そもそも「民主主義」というのは、個々がしっかりと教育を受けて「考える能力」や「判断する能力」を獲得していることが前提になっているような気がします。ですから、やはり我々は正しく学んで、小難しい政治や経済のことも考え続けなければならないのだと思います。

 

現在私は中国の首都で暮らしているのですが、この国で行われていることは実に単純です。要は、えげつないレベルの教育格差をつけて、「学のない者は無理に学ぶ必要はないから労働に勤しみましょう」といったようなことを暗に言うわけです。無教養な人が大半なので、選抜されたごく一部の賢い連中は容易に大衆をコントロールできるのです。これを阻害する最も危険な外力は「外からの入れ知恵」ですから、国際的に批判を浴びてまで「インターネット検閲」を徹底しているのです。まあ、今後状況は変わっていくとは思いますけれどね。とりあえず現状はそんな感じです。

 

ということで、やはり我々も十分な教養を身につけて自身でよく「考える」ことに努めるべきですね。「一生勉強」なんて言葉はさすがに重いので好きにはなれませんが、私も自戒を込めて今これを書いています。