元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

もう台湾旅行には行けないのか? 新型コロナ封じ込めに成功したが故の苦難

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遠くなってしまった台湾。

 

台湾における感染状況


新型コロナ封じ込めに世界で最も成功した国・地域の一つと言われている「台湾」ですが、最近また新規感染者が増えてきています。


手元にある最新データ(2021年1月30日20時時点)によると、新規感染者数は「14名」で、Active cases(現在感染状態にある人の数)は「78名」となっています。

 

しぶといコロナ


日本や欧米諸国に比べれば台湾の感染対策は群を抜いて優秀だと言えるわけですが、そんな台湾でも今冬は新規感染者ゼロにはなかなかできていません。しかしこれには特筆すべき理由があるのです。


台湾では昨年の春以降新規感染者ゼロの日も多かったわけで、ウイルスは外から持ち込まれたものであるということになります。


台湾政府はこれまで水際対策を徹底してきました。台湾の空港に到着した者には2週間の厳格な隔離が課されており、本来なら感染拡大など起こるはずがないのです。


ただ、どうやらこの「2週間」という期間に問題があったようなのです。2週間の隔離終了後に自主的にPCR検査を受け新型コロナへの感染が発覚した例が既にいくつも存在するのです。隔離期間を終えれば皆当然街に繰り出して普通の生活を送るわけで、こうなってくるともう完全な封じ込めは不可能になってしまいます。兎にも角にも「2週間」では足りないということなわけで、これは当然ながら日本も参考にすべき事実です。


なお、少し前から中国大陸の方では入国者への隔離期間を「3~4週間」に延長する措置が取られています。

 

chinalover.hatenablog.com


どうやら新型コロナの体内における寿命というか感染能力の保持期間は我々が思っているよりも長いようで、本当にしぶといなと。

 

台湾旅行はもう不可能?


結局のところ、台湾政府にはもう二択しかないのだと思います。


「コロナとの共生」を選ぶか、それとも短期滞在者(外国人観光客や出張目的のビジネスパーソン)の入国は一切排除して「外国人旅行客との決別」を選ぶか。


言うまでもなく台湾は日本人にとっては弾丸トラベルのメッカであり、週末(+1日)の1~2泊でも楽しめる「日本人にとって最も気軽に安心して楽しめる海外」です。入国後の隔離がある限り、我々にとって台湾旅行は不可能なのです。


現在欧米諸国の中には入国後の隔離を課していない国が多くあります。日本は一応入国後2週間の「待機」を要請してはいますが、罰則規定があるわけでもなく、そもそも同居人のいる自宅での待機も許されるということで、あくまで形だけの措置とも言えます。


そんな中、台湾はコロナ対策優等生として世界的に認知されており、これは蔡英文氏の高い支持率のベースとも言えますから、この厳格な隔離措置の解除は今度も当分続くであろうと思われます。


ワクチン接種が始まってもこの「水際対策」にはあまり影響を与えないでしょう。ワクチン接種により発症及び重症化しにくくなるのは確かでしょうが、他者に感染させる能力がなくなるわけではありませんし、特に高齢者や持病のある人はワクチンを打とうが重症化する時はします。


日本のコロナ対策なんて、台湾のそれに比べたら何もやっていないようなものです。ただ、そのおかげで「新型コロナ共生社会」への舵取りは容易になるのだと思います。遠くないうちに緊急事態宣言は解除され、Go To トラベルキャンペーンが再開、おそらく夏頃には入国後の待機要請も緩和されるのではないでしょうか。


しかし台湾ではたった数人の新規感染者でも騒ぎになるのが現状なわけで、水際対策の緩和や解除にはかなりの時間が必要になるものと思われます。Twitterなんかを見ていると、「コロナ禍が終わったらまた台湾旅行したい!」なんて台湾ファンの人たちの声が散見されますが、台湾への短期旅行なんて今後何年も無理なのでは?と私には思えてなりません。

 

コロナ禍の本質


コロナ禍の本質は、「対策を頑張れば頑張るほど長引く」という点に尽きるのだと思います。


感染者と濃厚接触したというだけで元気な人にまでPCR検査を強要し(1都3県では既にこういった積極的疫学調査は停止されていますが)、数人見つかればクラスターだ何だと言って大騒ぎする。こんなことを続けていたらそりゃコロナ禍なんて絶対に終わりません。


上の方でも書きましたが、日本はまあいいのです。コロナ対策はテキトーですから。ただ、台湾は本気の対策をしていますから、台湾におけるコロナ禍は日本に比べてはるかに長く続く可能性が高いでしょう。


私も台湾時代の仕事関係者から声がかかっていて、台湾出張が可能になるのを待っている状態です。またもちろん、仕事以外のプライベートでも台湾を再訪したいという思いは強いです。


現在台湾にいる日本人の友人とも連絡を取っているのですが、「新型コロナを封じ込めてしまったが故に水際対策の緩和ができなくなってしまった」という点に関して意見が一致しています。その友人も一時帰国ができずに困っているようで、「日本にいる親の健康状態が最近あまり良くなくて、現在のような身動きが取れない状態がずっと続くなら台湾を離れることも考える必要がある」と言っていました。


私がかつてそうだったように、台湾にはたくさんの日本人が暮らしています。職種を問わず、社会人をしていたら2週間の隔離なんて絶対に受け入れられませんからね、、、


台湾と言えばやはり「LCC利用のエコ旅行」がメインですから、日本人観光客がいなくなっても台湾経済にはあまり影響はないのかもしれませんが、台湾ファンとして本当に寂しい限りです。日本人にとって「最も身近な海外」が、コロナ禍により「最も行くのが難しい場所」になってしまいました。


コロナ禍が始まり既に1年が過ぎましたが、まだまだ「出口」は見えてきません。