今回は、台湾の台北で安心して駆け込め、日本語での意思の疎通が可能なオススメ病院をご紹介すると共に、海外旅行傷害保険について少し書いてみたいと思います。
短期滞在でも備えは大切
近年、台湾を訪れる日本人旅行客は非常に多く、地理的に日本から近いということもあり、ごくごく普通の週末なんかを利用して短期滞在をする方も多いです。
ところで皆さんは、台湾旅行中に病気に罹ったり怪我をした際の対応について、考えたことがありますか?
海外旅行中に体調を崩すなんていうことは決して稀ではありませんし、不慮の怪我の可能性はいつだって付きまといます。現実的には、そういった緊急時には、滞在先のホテルのスタッフにでも相談するのが一般的かと思われますが、可能であれば少しくらいは事前に知識を頭に入れておくと安心です。
最近、私の身内が台北を訪れている最中にたまたま怪我をしまして、病院に連れて行くという経験をしましたので、私の過去の通院経験も含めて、今回はご紹介してみようと思います。
日本語が通じる病院
まず、ほとんどの日本人旅行客は日本語しか話せないかと思いますので、病院に行く必要が生じた際には、やはり「日本語が通じるかどうか」が一つのキーポイントになります。
お手元のスマートフォンなりパソコンなりで「台北 病院 日本語」なんていうワードで検索してみるといろいろと情報が出てくるのですが、それらの情報の中には正直微妙なものも少なくないと私は思っているので、今これを書いています
私は昨年、喉が腫れて高熱が出て、「これはただの風邪ではなさそうだから、抗生物質が必要だろう」と思って病院に行くことにしました。インターネットで上述のワードで検索し、家から比較的近くにある内科クリニックで診てもらうことにしました。しっかりと診察をしてもらえ、数種類の薬を出してもらいました。ホッとしました。しかし、数日間薬を飲み続けても全然治らない。こりゃヤバいと思い、職場の台湾人の同僚数人にメールを送り、「言語は問わないから、いい病院を教えて欲しい」と聞いてみたところ、「台安医院」(「医院」は中国語で「病院」の意味。日本語の「クリニック」や「医院」は中国語では「診所」。)という病院を勧められ、実際に行ってみることに。救急外来ではなく、通常の外来への飛び込みでしたから結構待たされましたが、胸部レントゲンや呼気のスペクトル測定(?)等の数種類の検査を受け、医師からは「扁桃炎をだいぶこじらせてしまったようで、気管支炎になってしまっています。あなたが処方されて飲んでいた抗生物質は古いものですから、基本的に現代では使うべきではありません。なんでもっと早くにまともな病院で診てもらわなかったのですか?」と言われました。そこでは日本の製薬会社が作っている最新の薬を処方され、数日後にはすっかり良くなりました。「まともな病院で診てもらう」ことがいかに重要かを痛感した経験でした。
後日、職場の同僚たちにこの経験を話したところ、どうやら台湾では数十年前から存在する古い薬なんかがまだまだ使用されている(薬価が安いため)ようで、同じ症状でも医療機関によって処方される薬は大きく異なるそうです。
そんな経験もあり、この度、身内が怪我をした際にも台安医院に連れて行きました。台北は大都市ですから、他にも大きな病院はいくつかあります。私はそれらの病院を全て試したわけではありませんから、他の病院を否定するわけではなく、「とりあえずココなら勧められる」と私が勝手に考えている病院という意味で、今回は台安医院について紹介してみたいと思います。
日本語が通じる「台安医院」
ということで、地元民からの評価が高く、かつ、日本語が通じる病院(後述しますが、外国人用の特別外来センターが存在する)である「台安医院」について紹介したいと思います。
まず、場所は以下の通りです。
台北市街地の中心部にあるものの、台北メトロ(MRT)の駅からは少しだけ離れているので、タクシーで向かうことをお勧めします。これに関しても後述しますが、旅行保険に加入している場合、往復の交通費も後から戻ってきますから、降車時には領収証を必ず受け取るようにしてください。
こちらの病院なのですが、大きく分けて三つの窓口があります。一つ目は「一般外来」。こちらは地元民が利用するごくごく標準的な外来です。台湾の保険証が利用可能ですから、私のようにこちらに住んでいる人は外国人であってもこちらに行くのが基本です。ただ、外国人旅行客はこちらに行く必要はありません。こちらでは、日本語どころか英語も基本的には通じません。もちろん医師の外国語能力次第ではありますが。二つ目は「特別外来センター(国際特診中心)」。こちらは主に外国人を対象としたセンターで、全て自費診療となります。ただ、基本的に全ての外国人は旅行保険に加入しているでしょうから、ここに来る人たちのほとんどに関しては、実際の負担額はゼロなはずです。日本語と英語に完全対応していますから、日本語しか話せない人でも安心です。三つ目は「救急外来」。一般外来や特別外来センターが診療時間外で、かつ早めの受診が必要な場合にはこちらを訪れることになります。日本語は基本的に通じません。英語は医師や看護師次第です。ただ、筆談なんかも適宜利用して一生懸命意思の疎通を図ろうとはしてくれますから、漢字が使える日本人であれば何とかなるかもしれません。
病院の外観はこんな感じです。
写真の左下が入り口で、入って左側に一般外来の受付、右側に救急外来の受付があります。
入り口から中に入らずに少し左の方に行くと、奥に別のビルがあることがわかります。特別外来センターはこのビルの中(3階だったような気がしますが記憶が曖昧です。案内があるのですぐにわかるはず。)に入っています。
特別外来センターの入り口はこんな感じ。
中に入ると右手に受付があります。中はそんなに広くはありませんが、しっかりした作りのソファーが並ぶ非常に綺麗な空間で、一般外来とは雰囲気が全然違います。
費用に関してですが、外国人向けの特別センターということで、当然ながら一般外来よりは高いです。ただ、一時的に自分で支払ったとしても後から戻ってくるわけですから、金額に関してはさほど問題にはならないかと思います。一般外来とは違って、クレジットカードも使えますから、事前に現金を用意しておく必要もありません。
なお、予約は日本語の公式ホームページから簡単に行うことができますが、急ぎの場合は電話の方が早いと思います。とにもかくにも、このセンターのスタッフの日本語はかなりのレベルなので、コミュニケーション上の問題に遭遇するようなことはまずないと思います。
ちなみに、今回お世話になった医師の方の日本語もかなりのもので、どうやら彼は日本の医師免許も持っているようでした(免許状が診察室内に飾ってありました)。
旅行傷害保険には絶対に入りましょう!
せっかくなのでついでに書いておきたいと思うのですが、皆さんは海外旅行の際にしっかりと保険に入っていますか?
多くの人が何らかの保険には入っているかと思いますが、もし「よくわからない」なんていう方がいましたら、これを機会に検討してみることを強くお勧めします。やはり現地でどんなことが起こるかはわかりませんから。
海外旅行の場合、保険によってはコストが結構かかるので、できればコスパのことも考えつつ選択をしたいものです。ここでは、私が普段どうしているのかについて書いておこうと思います。
かつて私は、空港にある保険会社のカウンター(最近では専用のマシンで契約することも可能)で渡航当日に加入していたのですが、現在はそういったことはしていません。なぜなら、毎回契約するのが面倒だし、料金も明らかに割高だと感じるようになったからです。
現在私は、日本で発行したクレジットカード付帯の旅行傷害保険のみを利用しています。みなさんご存知かどうかわかりませんが、クレジットカードによっては、「海外旅行傷害保険」(カードによっては、「国内旅行傷害保険」も付帯する)というのが付いていて、海外旅行中に病気になったり怪我をしたりした際に、後から現地の病院で支払った治療費が戻ってきます。基本的にはクレジットカードを保有するだけですから、私が思うに、これほど便利な方法は他にありません。今回もカード会社に電話したところ、すぐに申請用の書類を日本の住所に送ってくれました。その書類に病院でもらった領収書や通院に利用した交通機関の領収書を添付して申請すれば、お金が戻ってくるわけです。ということで、クレジットカード付帯の旅行傷害保険、オススメです!
ただ、もちろんどのカードでもOKというわけではなくて、保険金額はカードによって大きく異なりますから注意が必要です。万が一の際に結構大きな額が補償されるされるシステムですから、もちろん基本的には「年会費の高いカードの方が保険金額は大きい」ということになります。これはあくまで目安ですが、「傷害治療費用」及び「疾病治療費用」に対する保険金額がそれぞれ300万円くらいあると安心だと一般的には考えられているようです。アメリカで盲腸の手術を受けたところ200万円以上かかったなんて話は結構有名だったりします。ですから、そのくらいの保険金額が設定されているカードを保有するべきです。経済的に余裕がある方はプラチナカードなりブラックカードなりを所有しておけば安心(そもそも金持ちは保険なんかに入る必要自体がないわけですが、、、)なわけですが、私のような貧乏人にとっては年会費も大きな負担になってしまう場合がありますから、なるべくコスパの良いカードを選びたいものです。
ということで、細かい比較なんかは省略して、私が実際に所有しているカードをご紹介しておきます。
「三井住友VISAゴールドカード」です。
おそらくは日本で最も有名なクレジットカードなのではないでしょうか。巷に溢れている提携カードとは異なるプロパーカードですから、信頼度も抜群ですし、基本的にはこれ1枚持っておけばまず困りません。ゴールドではないいわゆる平カードも存在するのですが、平カードの場合、傷害治療費用や疾病治療費用に対する保険金額が100万円だけなので、300万円まで補償されるゴールドカードにしておくことをお勧めします。ちなみに、こちらのカードには30歳以上の方しか申し込めないのですが、20代用には「プライムゴールドカード」というのがあるので、そちらを所有すれば同じ内容の保険が付帯します。
「ゴールドカードとか、、、年会費が高いんでしょ?」と思われるかもしれませんが、旅行傷害保険を活用できる方(1年に1回か2回くらいは旅行に行く方)であれば、決して高くはないような気がします。ちなみに、ゴールドカードの年会費は「1万円+税」で、プライムゴールドカードの年会費は「5千円+税」です。しかしながら、初年度は年会費無料ですし、翌年度以降は年会費割引特典というのがあって、ゴールドカードの場合、年会費は「4千円+税」となりますから、翌年度以降の実際の年会費は「4,320円」(プライムゴールドカードなら「1,620円」)で済みます。
保険の内容についての詳細は割愛しますが、賠償責任に関する保険金額が5,000万円、救援者費用に関しては500万円と、かなり充実した内容になっていますから、これ1枚あれば他の保険にわざわざ入らなくても十分(と少なくとも私は考えています)です。また、家族特約も付いてきますから、このカードさえ持っていれば19歳未満の子供が病気に罹ったり怪我をしたりした場合でも安心です。更に、家族特約はつかないようですが、国内旅行傷害保険も付帯します。
ちなみに、このブログはクレジットカードブログではないのでそろそろ止めますが(笑)、もし「年会費1万円くらいまでならなんとか支払えそう」という方であれば、「楽天プレミアムカード」もお勧めです。
保険に関して、こちらも傷害治療費用や疾病治療費用に対する保険金額は300万円に設定されているのですが、特筆すべきメリットとして、こちらのカードを保有すると「プライオリティ・パス」が無料で取得できるという点が挙げられます。これを持っていると、全部ではありませんが、世界中の空港にある様々なラウンジを無料で利用できますから、海外旅行が非常に捗ります。ちなみに、台湾桃園国際空港にもこのプライオリティ・パスで利用可能なラウンジがあり、ゆったりとした空間で飲み物や軽食を無料で楽しむことができます。私もこのパスで利用したことがありますが、ビールを飲みながら台湾式のおでんを食べたりできて楽しかったです。このパスで利用可能な空港ラウンジは世界120か国で計900か所以上ありますから、海外旅行に毎年行かれるような方であれば、年会費の元くらいは結構簡単に取れるのではないでしょうか。逆に、数年に一度しか海外旅行には行かないという人には必要ないかと思います。
ついでに一般的な話として、クレジットカードの国際ブランド(VASAとかMasterとかのこと)について軽く触れておきますが、詳しくない方は「VISA」にしておくことをお勧めします。「Master」や「JCB」でも悪くはありませんが、やはりVISAが最強です(Masterしか使えない場所も海外にはまだゼロではありませんが、私の経験上、VISAしか使えない場所はそれよりも多いと思われます)。なお、余計なことを少し書くと、私のようなクレジットカード大好き人間の中には、「アメリカン・エキスプレス(アメックス)」のカードを好む人も少なくありません。最近特に人気なのはこちらのカードです。
個人的に興味を持っている話題ということもあり長くなってしまいましたが、とりあえず、旅行傷害保険に一切入っていない状態で海外に出るのだけは絶対に避けるべきです。なくなってもいいと思える300万円くらいの余裕資金があれば話は別ですが。
海外の病院を利用するメリット
最後に、ちょっとだけ興味深い(少なくとも私にとっては)話を書いて終わりたいと思います。
病気に罹ったり怪我をしたりしていなくても、もちろん病院は検診や検査目的で利用することも可能です。
「わざわざ海外の病院に行く必要なんてないでしょ?」と思われるかもしれませんが、医療関係の法律は国ごとに異なりますから、海外の病院では日本では受けられない検査が受けられたり、日本で受けられる検査であっても海外の病院で受けた方が安く済む場合があったりするのです。
一例として、「新型出生前診断(NIPT)」を挙げることができます。これは妊婦さんが受けるもので、ダウン症を含む胎児の染色体異常を血液検査で調べるものなのですが、日本では基本的に「分娩予定日時点の年齢が35歳以上の妊婦」しか受けることができません。私はこの気持ち悪い制限に大反対なのですが、まあそれは置いておくとして、とりあえず台湾ではもっと若い妊婦さんであってもこの検査を受けることが可能です。さらに価格も安いです。自由診療で保険は適用されないため、日本では20万円くらいかかるそうですが、台湾なら5万円くらいで済みます。平均値で言えば、ダウン症の子供が生まれてくる確率は「800分の1」であり、若い母親であってもそれなりの確率では生まれてきます。ですから、この検査を受けられるかどうかで人生が大きく変わる人もいるかもしれません。もちろん、こういった検査はあえて受けたくない、という方もいますから、私は「日本で受けられない若い妊婦さんは台湾に来て受けるべき」などと言いたいわけではありません。ただ私は、「基本的に選択肢は多い方がいい」、「年齢で差別されるべき案件ではない」と考えているだけです。
とまあ、日本にいると見えてこないことっていっぱいありますね。
実際に経験せずして視野を大きく広げたり、実際に海外に住まずして国際人(笑)になったりすることがいかに難しい(というか、非現実的なことである)か、今の自分には少しだけわかるような気がします。
とは言っても、ほとんどの人は日本での日々の生活に一生懸命で、簡単に身動きは取れないでしょうから、こうやってブログを通して生の話をいろいろとお伝えすることにはそれなりに意味があるのかもしれません。そんなことを思いつつ、私は台北で2017年のお正月を過ごしています。