元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

「中国で食事をする時には少し残すのがマナー」は本当? それとも嘘? 実際に中国人に聞いてみました

横浜中華街

 

ご存知の方も多いかと思われますが、最近ネット上で中国人の食事中におけるマナーが問題になっているようです。

 

ビュッフェ形式のレストランで大量に残して退店


ニュース記事によると、どうやらタイにあるビュッフェ形式のレストランを訪れたある中国人団体客が、大量のエビを席に持ち帰り、かなりの量を残した上で店を去ったそうです。
当然、「残すくらいならそんなにたくさん取るなよ!」という話になるわけで、中国人の食事マナーの悪さが指摘されているようです。

また、ネット上での日本人の発言を見てみると、「中国では食事を残すのがマナーらしいけれど、さすがにこれは残し過ぎだよな、、、」、「そもそも残すのがマナーって、意味がわからない」なんて投稿がけっこうあります。
私も似たような話は昔からよく耳にしていたのですが、これって本当に正しいのでしょうか?

 

「中国で食事をする時には少し残すのがマナー」は本当? それとも嘘?


こういうのはやはりもう実際に中国人に聞いてみるのが手っ取り早いわけです。
ということで、本当なのかどうか職場にいる中国人数人に聞いてみました。その結果わかったことは以下の通りです。

  • そのタイのレストランでの話は、現在中国でも話題になっている。では、なぜ話題になっているのか? もちろん中国人的にも「あり得ない」話だからだ。
  • 本当か嘘かと聞かれたら、「場合による」としか言えない。誰かに食事に招待された際や、フォーマルなディナーなどの際には、少し残すことが多い。例えば自分が招待する側だった場合、皿の上の食べ物がきれいになくなったら迷わず追加注文するだろう。ただ、それは特殊な場合であって、普段の食事ではもちろん残さない。食べきれなかったら包んでもらって持ち帰って後で食べる。そもそもお金を払うんだから、残すなんてもったいない。
  • 実際のところ、中国には貧しい人が非常に多くて、十分な栄養を摂取できていない人もたくさんいる。だから基本的には肉でも魚でも、食べられるところは全部食べようとするし、中国人的には、外国人の方がよほど裕福でガンガン残しているイメージがある。
  • たた、最近の中国には「急にお金持ちになった人」が少なくなくて、そういった連中が今回のようなことをして、中国人の評判を悪くしている。
  • もしあなたが中国で食事に招待されたら、なにもあえて残す必要なんてない。きっと相手は「まだ食べられそうですか?」とか「デザートに関して何か好みはありますか?」なんて聞いてくるだろうから、もっと食べたければ素直にそう言えばいいし、お腹がいっぱいならそれもまた素直にそう言えばいいだけだ。


ということで、まあシチュエーションによっては正しいと言えなくもないけれど、「残すべき」とまでは言えないようです。
けっこう同僚たちも「中国人のマナー」にまつわるこういった報道に際しては腹を立てているようで、「そんな人たちばかりだとは思わないで欲しい。現実はもっとはるかに質素だ。」と言っていました。

 

管理人が台湾人や中国人と一緒に食事をした経験から思うこと


私はもう何年も台湾で暮らしていますから、いったいこれまでに何度台湾人や中国人たちと一緒に円卓を囲んだかわかりません。その経験から少し書いてみようと思います。

まず基本的には日本とほとんど変わらないと思います。残すかどうかについては、日本と違ってこちらでは残ったものは店員さんに包んでもらって持ち帰ることが可能なので、「満足するまで食べたら、あとは持ち帰って食べる」というスタイルがけっこう普通です。前回、鼎泰豐(ディンタイフォン)についての記事を書きましたが、あの日も、隣に座っていた家族連れは最後に残った炒飯を持ち帰っていました。小規模な食堂なんかに限らず、ディンタイフォンのようなまともなレストランでも気軽に持ち帰ることができるのです。

次に、「食事に招待された場合」、つまり奢ってもらう場合に関してですが、招待する側はけっこうたくさん注文することが多いです。私も「え!? そんなに頼むの!?」なんて思ったことが何度もあります。「人をもてなす際には思いっきり!」みたいな感じですね。私は中華圏の人たちのそういったところがすごく好きです。私はかなり量が食べられる人間なので、残しそうになったことはありませんが、こちらの食事は基本的に大皿で提供されて、小皿に取り分けるスタイルですから、残ったら「持ち帰りたい」と伝えてみるとスマートかもしれません。ちなみに、まともなレストランの場合、皿にある程度の時間残っていると、店員さんが「お下げしましょうか?」なんて聞いてくるでしょうから、しっかり断りましょう(笑)

最後に、これは特に強調しておきたいことなのですが、よく「中国人は食べ方が汚い」なんて言う日本人がいますよね?
あれに関しては、個人的にはまあわからなくもないです。ただ理由があるんです。
こっちで円卓を囲んだ場合、自分の目の前にセットされた小皿や小さなお椀に料理を大皿から取って食べるわけですが、「スペースが足りない」ことがよくあるんです。どういう意味かと言うと、例えばこちらの肉料理なんかは基本的に骨ごと包丁でぶった切ってありますから、食べる際に骨を取らなきゃいけないことが多かったりします。でも皿は比較的小さいので、人によっては皿の横にティッシュをしいて、その上に骨を置いたりします。これが、食事後に見るとけっこう汚く見えたりするんですよ。あとは、様々な料理を一つの皿に取りますから、いろんな色(ソースなどの)が混じって少し汚く見えることも多いです。高級店の場合、料理ごとに小皿やお椀を交換してくれるのですが、庶民的なお店では、基本的に同じ皿を使い続けます。
あとは、円卓の回転する部分は少し高くなっていますから、つい感覚が狂いがちで、自分の小皿に取り分ける際に、テーブルクロスの上にソースなどをこぼしてしまうこともあります。私もいつも気をつけているけれど、つい汚してしまうことも少なくありません。また韓国同様、この国でも皿は基本的に置きっぱなしで、持って食べるようなことはあまりしない(持ってはいけないわけではないらしいので、私は普通に持ち上げたりしています)ため、大皿から取り分ける際にこぼしやすくなっているような気がします。

その点、日本では外食をする際に「大皿料理を5人以上でシェアする」ということは基本的にありませんし、例えば和食であれば、一人分ずつ事前に小鉢に分けられていますから、やはりいろんな意味で「きれい」には見えるのでしょうね。

ただ、円卓での食事ってけっこう楽しいですよ。通常、6人から10人くらいで一つのテーブルを囲むのですが、みんなの顔が見えるから話がしやすいんですよね。もっとも、少し離れた場所に座っている人の顔もしっかり見えて会話につながりやすいが故、声が大きくなりがちな気もしますが。
日本の宴会なんかでは、長方形のテーブルを使うわけですが、あれだとコミュニケーションをとれる範囲がすごく狭くなるんですよね。
この「丸」と「四角形」の違いというのは、なんとなく日本と中華圏の間の文化の違いをよく表しているような気がします。


ということで、今回の記事は以上です。
ところで、みなさんはまともな円卓で食事をしたことってありますか?
本格的なしっかりしたサイズの円卓を使おうとすると8人くらいは必要なので、日本にいるとなかなかそういう機会ってないんですよね。