元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系ブログ。ご連絡はTwitter(@superflyer2015)経由でお願いします。

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台湾東部地震に関連したデマを意気揚揚とSNSで拡散する日本の台湾ファンたち。訪台時の注意事項。

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あなたがたった今SNSで拡散に協力したその情報、本当に正確ですか?

 

台湾東部地震


既に皆さんもご存知かと思いますが、2018年2月6日の夜、台湾東部、花蓮県近海で大きな地震がありました。現地では大きなビルが大きく傾いたりと大きな被害が出ており、既に多数の死傷者が出ていることも判明しています。

 

現在も現地では懸命の救助活動が続いており、安倍晋三首相は警察や消防などの専門家チームを派遣したそうです。

 

実は私は地震発生当日の数日前まで台北に滞在していたのですが、ホテルで眠っている時に一度だけ地震で目が覚めました。もしかしたら、今回の地震の前兆だったのかもしれません。

 

台湾は日本同様、地震がとても多い国であり、私が現地で暮らした数年間の間にも非常に大きな地震がありました。

 

taiwanlover.hatenablog.com

 

また、そんなこともあり、台湾在住時には常に身の安全に関して不安を感じていたのも事実です。

 

taiwanlover.hatenablog.com

 

日本でも地震は多発していますし、我々日本人にとっても確実に安全を確保することは不可能です。しかしながら、台湾に関してはもう少し深刻な社会的問題が存在すると私は考えています。これに関しては後述するとして、先に今回私が筆をとるきっかけになった出来事について書いてみたいと思います。

 

デマを拡散する日本人


私は先日、以下のような記事を書いたわけですが、それと絡んだ話です。

 

taiwanlover.hatenablog.com

 

言うまでもなく、「台湾ファン」は日本に非常に多いわけで、現在もSNS上では台湾東部地震関連の投稿が多数見受けられます。

 

多くはもちろん「台湾を応援しよう!」というものなのですが、例えば、私のTwitter(@superflyer2015)のTL(タイムライン)上には、以下のようなツイートが表示されていました。

 

  • 今回大きな被害があったビルはちょうどプレートの境目に位置していた。だから台北は大丈夫。台湾旅行をキャンセルしないで!
  • 寄付をする場合は、朝日系やフジテレビ系を避けるように!
  • どこに寄付していいかわからない人は、近くの台湾人がオーナーをやっているお店でお金を落とそう!

 

といったようなものです。
私はこういった風説の流布をするような問題のある人物は絶対にフォローしませんから、要は、私がある程度信頼しフォローしている方たちがこれらのツイートに「いいね」したり「リツイート」したりしたということです。

 

もう少し具体的に書くと、プレートの境目直上かどうかなど問題ではありません。そんなことは日本で起きた大震災を見れば容易に理解可能です。「台北は大丈夫」かどうかなど誰にもわかりません。私が台北で暮らした数年間でも大き目の揺れば何度も何度もありました。寄付をする際ですが、最近では大きな組織は必ず使途を公開しています。そのくらいチェックしておけば十分でしょう。もっとも私も朝日とフジは偏向報道ばかりするので大嫌いですが。あとは言うまでもなく、台湾人がオーナーをやっている店で食事をしたからといって、それは台湾を応援したことにはなりません。そのオーナーは日本で納税しているからです。それに、あなたが台湾人だと思っているそのオーナー、実は中国人かもしれませんよ?

 

ということで、十分なリテラシーがないのなら、SNSで情報の拡散などすべきではありません。「(拡散希望)台北は大丈夫!」なんていう情報の拡散にあなたが協力したとして、誰かが「それじゃあ、台湾を応援するために来週の週末訪台しよう!」なんて言って出かけたとして、その人が被災して死んだらあなたは責任取れますか?

 

大地震の後には、一般的に言って数週間は余震が続きます。大地震によってプレートの配置が若干ズレたり、安定的だったプレートに摂動(perturbation)が加わったことで近隣エリアで大地震のリスクが高まったりするのです。ですから、やはり大雑把に言っても、今後1か月間くらいは台湾を訪れるのは控えるべきだと私は考えます。もちろん、「普段よりも少しリスクが高い」程度かもしれません。でもやはり、「大丈夫」だなんて口が裂けても言えません。

 

もちろん、しばらく経って状況が落ち着いたら、普段通り遊びに行ったらいいと思います。皆さんが現地でお金を落とせば、それは確かに「応援」になります。

 

ということで、現時点で我々ができることとしては、寄付のみだと思います。「加油(中国語で”頑張って”の意味)」と言ったところで、傾いたビルは元には戻りません。被災者に必要なのはいつだって「現金」なのです。ですから、SNSでデマ情報を拡散している暇があったら、1万円でも2万円でも寄付しましょう。繰り返しますが、それが応援するということです。

 

台湾における深刻な問題


冒頭で軽く触れた通り、最近私は台北を仕事で訪れていたのですが、現地のお偉いさんたちとの会話を通し、最近の台湾における様々な問題が見えてきました。

 

まずは、景気が非常に悪いのです。国の予算が足りないため、政府は公務員の年金支給額を減額することを決め、それを不満に思っている人たちがたくさんいるのだとか。近年中国からの軍事圧力が高まっていて、台湾としては軍備にお金をたくさん注がざるを得ない状況にあるわけですが、出生率が1.0を割るような世界で最も深刻な少子化国家であり、日本同様高齢者ばかりが増え労働者人口は減る一方ですから、今後も経済は確実に逼迫し続けるわけです。

 

台湾を訪れたことがある方なら、古い建物の多さに驚くかと思いますが、金属だろうがコンクリートだろうが経年劣化しますから、地震大国としては日本同様、ある程度の頻度で建て替えたり補強工事をしたりする必要が当然あるわけです。その際には、やはり国が多少なりとも補助金を出すことが必要でしょう。しかし、台湾政府は現在それどころではないくらい貧しいのが現実です。

 

また、台湾の人たちもこれらの問題をもちろん認識しています。ただ、彼らもまた様々な問題と対峙しているのです。まず、物価に明らかにミスマッチな低賃金です。普段生活するのには困らなくても、真面目に働いたところで、住環境の改善に使えるような余裕資金を貯めるのは極めて困難です。あとは、例えば台北の場合は、ほとんどの人たちが集合住宅もしくは雑居ビルのような建物で暮らしており、「居住者で意見を合わせてお金を出し合い、耐震補強をする」ということが非常に難しいという現実があります。私もそういったビルで暮らしていましたが、騒音問題や住民同士のいざこざなども多くて、ビル全体の総合的な管理の難しさを感じました。

 

あとは、これは切ない話ですが、、、台湾では未来に悲観的な若者が多い気がします。これは一般論ではなくて、私が当時同僚数人と話していて感じたことですが、賢い台湾人ほど、台湾に未来がないということを理解しているようです。台湾と中国の間には様々な問題があるわけですが、実際のところ、優秀な台湾人の多くは中国で働いています。その理由はもちろん、賃金格差があまりにも大きいからです。ですから、なおのこと、台湾国内の景気は良くはならないわけです。経済の要は間違いなく「優秀な人材」ですから。これも全て、中国的にはシナリオ通りなのだと思います。こうやって台湾は極めて自然な形で中国に吸収されるのでしょう。今回の出張で会った台湾教育界のお偉いさんは、「10年以内にそれがほぼ完了すると私は確信しています」と言っていました。

 

台湾の若者たちの中には、「今を精一杯楽しもう!」と考えている人が多いです。これに関してはあなたはどう思いますか?

 

一見間違っていない、いかにも現代人的なステートメントだなと思うわけですが、要は、「貴重なリソースを余計なことに使いたくない」ということでもあるのです。連中は、他人のために時間もお金も使いたくないわけです。だから恋愛にも積極的ではないし、結婚は避ける傾向にあり、結婚してもリソースのロスが大きいから子供は持たないわけです。

 

つまり、「数十年後を見据えて地震対策をしよう」なんて思える精神的余裕が現在の台湾社会には存在しないのです。私の同僚の台湾人女性も言っていました。「私は人に迷惑をかけたくないから家族を持つ気はないな。とにかく残りの人生を精一杯楽しみたい。海外旅行が大好きだから家にはお金をかけたくないし、地震で潰れて死んだら死んだで、仕方ないじゃない。それは運命よ。」

 

旅行者の備え


まあ人それぞれ色んな意見があるわけですが、私は以下のような記事を書くくらい、死を恐れています。

 

taiwanlover.hatenablog.com

 

台湾はいい国ですし、私も大好きです。私は今後も台湾を訪れるでしょうし、今これをお読みの皆さんも末長く台湾ファンであって欲しいなと願っています。

 

ただ、やはり地震に関して言えば、台湾という国は明らかに弱いと思います。ということで、当ブログでも何度も繰り返し書いているような内容ではありますが、再度訪台時の注意事項をここに挙げておこうと思います。

 

  • 古い雑居ビルに入っている安宿には要注意。
  • 民泊(Airbnbなど)利用時には、防災に関する全責任を自ら負うことになるという事実を理解すること。
  • 訪台時には家族等に滞在先を伝えておく。
  • 日本台湾交流協会の連絡先をメモしておく。
  • 連絡手段の確保(台湾はプリペイドSIMカードが非常に安くて便利です)。
  • 充電済みのモバイルバッテリーを持ち歩くこと。

 

このあたりでしょうか。もちろんこれらは他の国を訪れる際にも重要なことです。近年、日本人にとって海外旅行は非常に身近なものになりましたが、慣れというのは本当に怖いものです。最低限の防災意識は常に持つ、このことが後々あなたの命運を分けることになるかもしれません。

 

最後に


今回の記事は以上になりますが、この度の震災で亡くなった方々の御冥福をお祈りすると共に、救助活動の成功、そして被災者の方達の傷が少しでも早く癒えることを心から願っています。

台湾、加油。