元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

新型コロナウイルス対策としての各種「自粛」や「入国制限」に意味はあるのか?

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人間という生き物は、時に誤った方向に自信を持って進んでしまうもの。

 

疑念


言うまでもなく、連日新型コロナウイルス及びそれが引き起こす感染症(COVID-19)関連の報道が過熱しています。「◯◯県で新たに2人の感染者」や「◯◯県で初めての死者」といったニュースばかりで重苦しい空気が社会全体を包んでいます。


そしてその結果、実に様々な分野において「自粛」が進んでいます。たくさんの人が集まる大規模イベントはもちろんのこと、企業が社員に在宅勤務を要請したり、就職活動における合同説明会をオンライン開催に変更したりなど、とにかく人と人とが接触する機会を減らすことに皆が躍起になっているわけです。個人レベルでも、旅行の予約をキャンセルしたり、不要不急の外出を極力減らそうとしている人が多いのではないでしょうか。


海外在住の自分としては、「入国制限」に関しても非常に気になります。例えば、現在日本から私が今いる北京を訪れることは可能ですが、北京首都国際空港にて飛行機から降機後、特別なレーンに案内され、各種手続きを経た後に14日間の隔離を受けることになります。用事が済んで帰国すると、今度は日本でも14日間の隔離が要請されるわけで、国家間の人の動きを抑制するための強い圧力がかかっているのが現状です。


ところで、皆さんはこの「自粛」や「入国制限」といった対応が適切だと思いますか?


私ももちろん、当初はこれらが正しい対応だと思っていました。とにかく感染の機会を減らすことが重要ですし、国内でいくら頑張っても外国からウイルスを持ち込まれてはきりがないからです。


しかしながら、この2週間ほどで様々なデータが報道により伝わってきたことで私の考え方は非常に大きく変化しました。現時点での私の意見というか、私なりの結論は以下の通りです。


「今回の新型コロナウイルスはそもそも封じ込められるような類いの病原体ではなく、気温が上がれば自然と消滅するようなものでもない。要は新しいタイプの『風邪』であり、皆が感染し免疫を獲得することでのみ"終息"し得る。したがって、一生涯自宅に引き籠もれるのでなければ外出の自粛には意味がない。未来永劫鎖国をするのでなければ入国制限も無意味。最も重要なのは『体調の良い状態で感染する』こと。すなわち、常日頃から体調管理に努め、少しでも体調を崩した際には積極的に学校や仕事を休んで感染の機会を減らし、かつ十分な栄養と睡眠により少しでも回復を早めることが生命リスクを最小化するために最も有効である。」


以下、その理由についてざっと見ていきたいと思います。

 

封じ込めは不可能


まず、ウイルスの封じ込めが可能なのであればもちろんそれに越したことはないわけですが、これに関してはもはや完全に手遅れです。現状、感染経路が不明の感染者ばかりであり、日本国内においては現在進行形で間違いなく感染は拡大しています。


そもそもこれまで感染が確認された人の半分以上は無症状もしくは軽症であり、検査をしない限り誰が感染者かなど全くわからないわけです。「感染が確認された人の半分以上は、、、」ということは、ナイーブに考えれば、無症状(もしくは軽症)であるが故に検査を受けていない感染者がかなり多くいる可能性が高いということになります。


既に知られている通り、感染力は極めて強いわけですから、感染者が”見えない”以上封じ込めなどできるはずがないのです。


中国は確かに封じ込めに成功しました。このまま湖北省を封鎖したままにし、国全体として鎖国をすれば今後もずっと封じ込めたままでいられるかもしれません。しかしながらもちろんそんなことは不可能です。大国ということでありとあらゆる国との間で人や物の行き来があるわけですから、今後も継続的にウイルスは国内に持ち込まれることになります。スクリーニングにより感染者の選別ができたら良いわけですが、感染は”見えない”わけで、いかなる策も存在しないのです。

 

気温上昇で消滅?


当初は私も「春になって気温が上がれば自然と終息するだろう」なんて思っていました。しかしながら、暖かい国でも感染の拡大は進んでいますし、専門家たちも「季節性インフルエンザとは違い、暖かくなっても消えはしないだろう」と予想しています。


これが真実であれば、不要不急の外出自粛により気温上昇を待つことも無意味だということになります。


私は専門家ではないので、正直これに関しては確信には至っていません。ただ、夏でも風邪は引きますからね、、、専門家の意見がやはり正しいのかなと。何れにしても、答えは今夏出るはずです。

 

自粛の意味


以上の理由から、各種「自粛」には基本的に意味はないと私は考えています。


レアケースとは言え、一定確率で重症化する(これはインフルエンザや普通の風邪にも言えることです)ため、イベント開催や外出の自粛により感染者の増加及び重症患者発生のペースをある程度落とすことはできるかもしれません。しかしながら、これを国単位でやってしまうと経済に甚大なダメージを与えることになってしまいます。


現に、来月4月から社会人になる予定の若者たちの中には、内定取り消しに遭い生活の目処が立たなくなった人が次々に出ています。次年度の契約更新を拒否され来月から無職になる非正規労働者もたくさん出ています。会社が傾き今後リストラされる人がたくさん出ることも間違いないでしょう。ニュースにならないだけで、「貧困」でも人は簡単に死にます。このことを我々は忘れてはなりません。


ですから、トータルでのバランスを考え、日本政府は各種自粛要請を遅くとも今月末までには完全に解除するべきだと私は考えています。


月が変わり4月に入っても感染の拡大は絶対に止まりません。ですから、自粛要請を解除したとしても、自主的に自粛する国民は少なくないはずです。個人的には、そのくらいがちょうどいいのではないかと思うのです。

 

入国制限の意味


入国制限の意味というか意義は、もちろん最初期に実行するのであればあったかと思います。本格的にウイルスを封じ込めようと思ったらこれは必須です。ただもうさすがに遅過ぎます。既に市中感染が始まって久しいわけですから。


現在様々な国がお互いにこの制限を課し合っています。しかしながら、そんな制限を中長期に渡って課し続けることは現実的ではありません。私のように海外と日本を年に何度も何度も行ったり来たりしている日本人は非常に多いです。自動車会社が典型的な例ですが、日本というのは国際的なビジネスで食っているわけで、人の往来を止めることなどできないのです。更に、特に近年、日本経済はインバウンドに非常に強く依存しています。我々日本人にはもう、自らの力だけで生きていく力はないのです。


入国制限など、どれだけ課そうと1か月間や2か月間が限度です。解除し次第、人、物、そしてウイルスの往来が再開するわけで、ウイルスの各種性質がある程度分かってきた今となっては、この制限に何か効果があるとはとても思えません。強いて言えば、国民感情を満たすため、、、という理由に尽きるのではないでしょうか。

 

本当に気をつけるべきこと


それでは、我々はただ単に普段通りの生活を送ればそれで十分なのでしょうか?


私はそう思っているわけではありません。やはり免疫が一切ない状態での感染となると、ただの風邪であってもダメージは大きくなりがちです。ですから、とにかく体調管理に留意することが肝心です。


栄養バランスの良い食事を心がけ、十分な睡眠をとり、いつ訪れるかわからない感染の時を万全の状態で待つべきです。


このことに気をつけつつ、普段通りの生活を送るべきだと思います。ライブハウスが危ないからと言って、それでは日本中のライブハウスを全部潰すのかという話なのです。クラブでお酒を片手に騒ぐ時にマスクなど着用できるわけがありません。今回のウイルスがエボラのような致死率であれば話は全く異なります。でも、幸いなことにそうではないということが既に判明しているのです。


なお、体調管理が鍵ですから、体調が崩れている時にはもちろん今まで以上に注意する必要があります。例えば、体調が良好な若者はマスクなどする必要がないと私は考えています(本来不要な人が買っているからマスクが不足するのです)が、体調が良くない時には着用すべきです。微熱なら、私だったらビタミン剤片手に出勤するでしょう。しかし、38℃台の発熱があったら学校や仕事は休むべきです。「そのくらいで仕事を休めるわけがない!」なんて言う人がいるかもしれませんが、そういう人間がいかに社会全体にとって癌か、今回の件で広く認知されたのではないでしょうか。自分自身のためにも、他者のためにも、登校や出勤は自粛すべきなのです。


コロナの出現により、個人的にも「体調管理」に対する意識が大きく変わりました。


なお、当たり前ですが、「息苦しい感じがする」等の肺炎の症状が疑われる場合には速やかに受診するべきです。普通の風邪やインフルエンザでは簡単に肺炎になどなりません。ウイルスの増殖がだいぶ進んでしまっている可能性があり危険です。


ちなみに、インフルエンザにも脳症のリスクがあるわけですが、今回のコロナウイルスにもウイルス性脳症のリスクがあることが既に確認されています。脳脊髄液からウイルスが検出されているのです。もちろんこれは非常に珍しいケースですが、そういう可能性もあるということだけは知っておくべきです。そもそも、インフルエンザがあまりにも一般的な存在になってしまっているだけで、本当は非常に恐ろしいものなのです。現に今シーズン、アメリカでは万単位の人が既にインフルエンザで亡くなっています。


先日、某ワイドショーの某コメンテーターが怒鳴るような大きな声でこんなことを言っていました。


「コロナとインフルエンザを比べるのは間違っています! インフルエンザには予防接種も薬もあるんですから!」


私は開いた口が塞がりませんでした。


予防接種も薬もあるにも関わらず毎年これだけ多くの人が亡くなるという事実がインフルエンザの恐ろしさを表しているわけです。それに比べると、やはりコロナの方が、、、と私には思えてなりません。


もっとも、どちらが怖いか、などという議論が重要だとは私は思っていません。コロナでも現にたくさんの人が亡くなっていますし、命というのは1つしかないわけですから。


ただ、如何せん、皆さんちょっと怖がり過ぎかなと。私は普段数字を扱って生計を立てている人間なので、感情や心理よりもやはり統計データに目がいきます。日本では感染が拡大し始めてからだいぶ時間が経つわけですが、死者数ははっきり言って非常に少ないです。インフルエンザよりもコロナの方を恐れる人の気持ちは私には理解できません。


再三言われていることではありますが、何よりも恐ろしいのは、「過剰に怖がり過ぎて必要ではないのにも関わらず病院に駆け込み医療リソースにダメージを与えること」、すなわち「医療崩壊」です。


私はイタリアが大好きで何度も訪れています。現地には友人もいます。現地での惨状を耳にする度に本当に心の底から悲しくなります。「しっかりと数字を見て判断」、「感情に流されない」、「理性的に行動する」、こういったことが本当に重要なのです。「リソースが足りなくて60歳以上の患者には挿管はできない」というミラノの医師の言葉をニュースで目にしました。本来なら死なずに済んだ人たちが亡くなっているのです。


皆さん、少し冷静になりましょう。


コロナは怖いには怖いわけですが、皆さんが思っているほど怖くはありません。インフルエンザの方が怖いです。


パニックを起こせば医療崩壊が起きてたくさん人が死にます。
経済活動の自粛を続ければ経済崩壊が起きてたくさん人が死にます。

 

終わりに


どうしても最後に書いておかなければならないことがあります。


それは、「高齢者及び持病のある人に対する致死率が高い」という「事実」に関してです。


高齢者や持病のある人に対する致死率が相対的に高くなるのはもちろん当たり前です。そして、絶対数で見れば、やはり日本における死者数は本当にものすごく少ないです。


そもそも、80代の高齢者がコロナに感染して亡くなったとして、それは寿命というものなのではないでしょうか。私には80代の祖母がいますが、認知症を発症していて、私のことはもちろん、毎日しんどい思いをしながら介護をしている私の母のことも全て忘れてしまいました。そんな現状を見ていて思うのです。80代で風邪やインフルエンザ、今回の新型コロナ等に罹って亡くなったとして、それは単に寿命だと。


そんなことよりも、「コロナで死ぬのは不名誉」とか「近所にバレるのが心配」といったような意識をまずは変えるべきだと思います。免疫力が低下している時に旧型コロナウイルス(いわゆる「風邪」の原因)に罹患し、肺炎で亡くなる高齢者は非常に多いです。最近、欧米諸国においてアジア人差別が問題になっているというニュースをよく見聞きしますが、それとも絡んだ話として非常に重要な点だと私は考えています。ある意味コロナよりも人間の方が怖いとも言えます。


ということで、最後にもう一度だけ繰り返しますが、体調管理に十分留意した上で、我々は今月末を目処に普通の生活に戻るべきだと私は思います。