元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響。現在の北京の様子。海外から見た日本。

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令和時代というのは本当にものすごい時代だなと、そんなことを思う今日この頃。

 

新型コロナウイルス


各種メディアの報道は連日新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するものばかりなわけですが、本当に大変なことになっています。


実は私は現在、このウイルスのせいで中国の北京市にて「隔離」されています。詳細に興味がある方は以下の記事をチェックしていただけたらと思います。

 

chinalover.hatenablog.com


何と言っても「未知のウイルス」ということで、治療法も確立していませんしどのくらい怖いウイルスなのかすらよくわかっていません。注意し過ぎるくらいでちょうどいいわけですが、その結果、今度は経済へのダメージ、医療リソースへの侵食など、派生する問題に関しても最近では話題に挙げられるようになってきました。


現在日本の外側から日本国内の動きを見守っている者として、今回は北京の現在の様子のご紹介と共に少し書いてみたいと思います。

 

現在の北京の様子


まず、北京の社会自体は動いてはいます。ただ、街中であっても走っている車は平常時に比べてまだまだ少ないですし、歩行者も疎らです。


これだけ大きな国の首都ですから普段世界中から観光客が訪れるわけですが、その分がごっそり抜けた状態ということで本当にどこも閑散としています。スーパーや飲食店に関しては営業を再開しているところが多いのですが、やはり活気はありません。


肝心の企業活動に関しては、実際のところ企業側に判断を任されているようです。ただ、「特に制限されないのであればすぐに平常運転で!」とはもちろんなりません。各企業、構成員から感染者が出ればその途端に大きな制限を受けることになりますし、上層部の責任が問われ、批判の対象にもなるからです。そんなわけで、帰省先にて在宅勤務をしている人もまだまだ多いです。


うちの会社も徐々に構成員を北京に呼び戻している最中です。基本的には北京に戻ってきた後、14日間の隔離期間を経て出社が許可される体制をどこもとっているため、平常運転に戻るにはまだしばらく時間がかかりそうです。特に現在湖北省にいる構成員に関しては、呼び戻そうにも省内から出ることができない状態が続いています。ただ、新規感染者数の増加スピードが急速に鈍化していますから、内部で伝わっている話としては、「3月中に全構成員を呼び寄せ隔離、4月からは平常運転再開」というシナリオが既に出来上がっています。もちろんあくまで予定ですから今後の動向次第ではありますが。ただ、中国ではかなり厳格な閉鎖・隔離政策を取っていますから、個人的には予定通り事が進む可能性が高いだろうと予想しています。


また各種報道でも言われている通り「気温」というのがウイルスの生存能力に大きな影響を与えるわけですが、今回のウイルスの発生源である湖北省というのは基本的に高温多湿なエリアであり、月が変わればぐんぐんと気温が上がっていきますから、状況が上向く可能性はやはり高いのかなと。ですから、若干楽観的だと思われるかもしれませんが、中国に関しては既に峠は越しているのかなと個人的には考えています。

 

日本の状況


問題は日本の状況です。


中国にいる者から見ると、「何もしていない」というのが現状かと思います。


まず、先日東京の街中を歩いていて思いましたが、まだマスクすらしていない人がたくさんいます。北京でマスクをせずに外を歩こうものならほぼ間違いなく注意されます。マスクの有効性に疑問を呈している方は多いのですが、飛沫のガードにはなりますからやはり着用はすべきです。それに何より、今回のウイルスは無症状のまま拡散してしまうリスクがありますから、自分が感染後に無自覚のままウイルスを撒き散らさないためにもやはり着用はすべきなのです。


次に、連日新規感染者のニュースが流れるわけですが、発熱等の症状が出て以降も出勤したという人が非常に多いです。私もサラリーマンですから気持ちがわからないわけではありませんが、この辺に関しては日本社会の余裕の無さが露骨に表れてしまっているなと思わずにはいられません。公衆衛生の観点から考えれば、やはり国民一人一人が責任を持ちモラルのある行動を取るべきです。「無理をする」ことが社会悪になるケースがあるということを我々はよく自覚すべきなのです。会社が保障してくれないからだ、と言いたい方もいるでしょう。私もそれこそが日本社会における特筆すべき問題点だとは思っています。私は現在隔離されていますが給料は満額もらえますから。ただ、これは一朝一夕には解決できない問題です。日本社会というのは無理や犠牲の上に成り立っていますから。


そして個人的にはこれが最も深刻な問題に思えるのですが、現在日本では「検査が必要(もしくは妥当)と考えられる場合でも検査を受けるのが困難」であるという問題が起きています。この問題は本当に奥が深いです。表向きの理由としては、「『安心』を得たい検査希望者が大挙して病院に押し寄せ医療リソースを侵食することになる」というものです。また、「感染者の大半は非常に軽症であり、家で大人しく寝ていれば治るわけで病院に足を運ぶべきではない」、「市中感染が発生している現段階において統計を取ることに意味はない」といった専門家の声もあります。


私が日本政府側の人間であれば、もちろん同じことを言うでしょう。今年、2020年は日本にとって極めて重要な年です。オリンピックという超大イベントが控えているからです。なぜとてつもない額の予算(血税)を準備につぎ込んだか。それはもちろんそれ以上のリターンが望めるからです。東京から大量の感染者が出てオリンピックが開催できなくなるような事態になれば経済は大打撃、ウイルスではなく貧困によって亡くなる人がたくさん出ることになります。この辺はなかなか実感しづらい話ではあるのですが、経済を守ることも防疫同様極めて重要なのです。


ですから、個人的には日本政府の方針は妥当に思えるには思えるのですが、どうも心に引っ掛かる点があります。それは「新型コロナウイルスの怖さが未だによく分からない」ということです。当初言われていた「重症化するのは高齢者と持病がある人のみ」というのが本当に正しいのであれば、上述のような政策もまあ仕方ないのかなと思えてくるのですが、実際のところ、中国では20代や30代の死者も普通に出ています。日本の人たちはそれに対して、「医療水準の違いによるものであり日本なら死なずに済んだ」などと言っているようですが、はっきり言って中国の医療水準は決して低くはありません。というか、中国は非常に広大な国ですから、田舎に行けばもちろん大きな差が出ることでしょう。ただそれは日本の田舎に最新設備を備えた大病院が存在しないのと同じです。日本の方々には馴染みがないとは思いますが、武漢というのはかなりの大都市です。有名な大学なんかもたくさんあるような場所ですから、そんなエリアの医療水準が日本と比べて大きく劣るなどということがあり得るとは到底思えないのです。


となると、一体なぜ中国では若者が亡くなったのでしょうか? たまたま運が悪かっただけ? もしくは持病があった? 疲労が溜まっていたから? でも疲労が溜まったくらいで死ぬのならすごく怖くない???


例えば、もし「年齢に関係ない重症化するための条件」みたいなものがあったら、、、なんてつい考えてしまうのです。あくまで現時点では「未知のウイルス」です。専門家たちは「SARSの時は、、、」、「新型インフルエンザでは、、、」なんて言っていますが、そういった過去の知識に縛られて考えることは危険だと私は考えています。


更に中国では、検査で陽性になり、治療後に陰性に、しかし再度検査したところまた陽性に、、、という例がいくつも出ているそうです。これはもちろん単に検査精度の問題かもしれません。でも、もしそうでないとしたら、一体何が起こっているのでしょうか、、、


兎にも角にも、連休明け2月25日(火)に発表される日本政府としての今後の方針は既に決まっており、内容を確認したところ、引き続き検査は抑制し、表に出る感染者数を抑える戦略のようです。


予報によると、今年の3月の東京はまだあまり暖かくはならないようなので、もう1か月くらいはかかるかもしれませんが、3月下旬くらいからスムーズに沈静化していくのであれば、もちろんそれほど望ましいことはありません。オリンピック開催にも大して支障はないでしょう。沈静化して少し時間が経てば皆忘れてしまうでしょうから。


でも、もし何か変なことが起こったら、、、例えば、もし東京で子供がこのウイルスで亡くなったら、、、全てがひっくり返るかもしれません。


「何か起きるまでは動かない」


いや、「何か起きるまでは動けないくらい経済に余裕がない」という方が正しいのかもしれません。色んな意味で日本は貧しい国になってしまったのだなと。

 

あとがき


連日ニュースやSNSをチェックしていると、今回の新型コロナウイルスに関して実に様々な情報が滝のように流れてくるわけですが、何と言うか、すごく不気味な感じがします。まあ、単によくわからないものだから怖いというだけなのかもしれませんが。例えば、感染して軽症で済んだとしても、その一度の感染が寿命や将来呼吸器疾患を患う確率に影響するかどうかなど現時点では絶対にわからないわけです。何せ肺の奥深くにダメージを与えるタイプのウイルスなわけですから。


SNSでは多くの方の「不安」に触れました。小さなお子さんのいる方など、もうどうしようもなく不安でしょう。私も最近姪っ子が誕生したばかりなので本当に最悪のタイミングだなとすら思っています。


個人的には、特に日本政府を糾弾したいわけではありません。そうではなくて、あまりにも自由度のない現在の日本社会に関して、皆さんにもこれを機に考えていただきたいなと。東京の満員電車を思い出してみていただきたいのですが、あんな状態ではもう打つ手なしですよ。社会の姿というか、東京という街が決定的に異常なんです。


東京一極集中の解消、首都機能移転、都市デザイン、、、そういったことに本気で向かい合わないと、色んな意味で日本には未来がないと思うのです。ズレた話をしているように思われるかもしれませんが、私は今回の件で特に強く感じたのがこのことです。


もう世界をリードするキラキラ輝く国になんかなれなくてもいいから、リッチでなくてもいいから、もっと一般平民が無理せず安心して暮らせる国になったらいいのに、、、そんなことを私はいつも思っています。


少しでも早く、本件が沈静化することを心の底から祈っています。
皆さんもくれぐれもご自愛なさってください。