元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

ゼロコロナからウィズコロナに政策転換をした台湾。最近の感染状況と今後の展望。

 

台湾政府がゼロコロナからウィズコロナへと大きく舵を切りました。最近の感染状況をご紹介しつつ、今後の展望について考えてみたいと思います

 

台湾のゼロコロナ政策


台湾は2020年にコロナ禍が始まってすぐの頃から「ゼロコロナ政策」を始め、それが2年以上に渡り続きました。水際対策により外国人の入境も就業目的の場合などを除けば厳しく制限されてきたため、あれだけ日本で盛り上がっていた台湾旅行ブームも今となっては完全に過去のものとなってしまいました。


個人的には、新型コロナは時間が経てばこの世界から消え去るタイプのウイルスではなく、ゼロコロナ政策は必ずどこかで限界を迎えることになる、ウィズコロナ、すなわちコロナとの共存以外の選択肢など絶対にないと確信していました。ですから、台湾政府のこのやり方には正直疑問というか、強烈な不満を抱いていました。


しかしながら、蔡英文氏が率いる台湾政府は中国政府同様、ゼロコロナ政策を堅持、堅持、and 堅持、、、
私はもううんざりしてしまい、「好きなだけ鎖国を続ければいい」くらいに思っていました。


その間、台湾在住時のかつての同僚たちとはたまに連絡を取っていましたが、皆「パンデミックが収まったらまた会いましょう」なんて言うばかりで、案外ゼロコロナ政策を支持する人が多いことに驚きました。


ただそうは言っても、西側諸国とは真逆の政策に反対の人もいて、かつての上司は「ゼロコロナ政策の影響で経済はもうボロボロ、台湾は職を得られない若者で溢れ返っている」と不満を口にしていました。


また、台湾人の中には海外で働いている人も非常に多いため、そういった在外の台湾人たちからも不満が噴出したのです。

 

ウィズコロナへの政策転換


そんな状況が続く中、「主に若者たちの不満の声が決め手となった」と聞いていますが、ようやく台湾政府は政策転換を決断したのです。ゼロコロナ政策には無理があるということを認め、ウィズコロナへと舵を切ったのです。


2022年4月下旬、台湾政府は感染対策の見直しを行い、隔離期間が短縮されました。


その後待っていたのは感染爆発。非常に速いスピードで感染が拡大し、連日数万人の新規感染者が出ることになりました。ゼロコロナ政策実施中は1日あたり50人程度でしたから、これは衝撃的な結果でした。


そして今月、5月6日には水際対策の緩和が発表されました。それによると、5月9日以降は入境後の自宅隔離は7日間に短縮、8日目から7日間の自主健康管理が課されることになりました。これが現在「7+7」と表現されている水際対策です。以前に比べれば大きく短縮されたわけですが、もちろんこれは水際対策撤廃に向けた段階的な措置ですから、今後更なる緩和がなされることは確実視されています。

 

最近の感染状況


台湾の現在のコロナ感染状況ですが、ここ最近の1日あたりの新規感染者数は8万人程度となっています。台湾の人口は日本の5分の1程度ですから、日本の人口で換算すると40万人にも相当します。


統計データによると、2022年1月1日から5月21日までの累計感染者数は「1,213,756人」となっていますから、今年だけで既に5%以上の台湾人が感染したことになります。このうち軽症もしくは無症状の人の割合が「99.77%」、中等症が「0.17%」、重症が「0.06%」、死亡は「0.04%」となっています。台湾では日本とは違ってしっかり検査自体はしていますから、これらの数字はかなり信頼できると私は考えています。


日本の累計感染者数は「858万人」、死亡者数は「30,287人」ですから、これらの数字から計算した死亡者の割合(致死率)は「0.35%」となります。台湾の数字と比べると約9倍となっていますが、日本では兎にも角にも積極的にPCR検査はしていませんから、おそらくは台湾のデータの方が正確で、日本の真の累計感染者数は数千万人である可能性が高いのではないでしょうか。私自身も含め、家族や親戚、友人知人の中にも、この2年間の間に明らかにコロナに罹ったとしか思えないような症状が出た人がたくさんいます。


そんなわけで、コロナの真の致死率は季節性インフルエンザと同程度もしくはそれよりも少し高い程度なのかな、と私は考えています。

 

今後の展望


台湾では昨日も約8万人の新規感染者が出ていて、これは日本の倍以上です。こうなるともう水際対策の意味など皆無と言っても過言ではありません。そんなわけで、日本のように入境後の隔離が撤廃される日は確実に近付いているのではないでしょうか。


もちろん、水際対策が完全に撤廃されたとしても、外国人観光客のビザなし入国が即解禁されるかどうかはわかりません。これまでの経緯を踏まえると、日本のようにある程度時間をかけて段階的に正常化を進める可能性が高い気がします。ただそうは言っても、この1ヶ月間で各種制限はかなり緩和されましたから、長めに見ても年内には正常化するだろうと私は予想しています。


そんなわけで、これもやはり私の勝手な予想ですが、日本にとっても台湾にとっても、2022年がコロナ禍最後の年になり、2023年からは我々はまた2019年までのように、気軽に台湾旅行を楽しめるようになる可能性が高いのではないでしょうか。「石の上にも三年」なんて言うわけですが、コロナ禍も3年で終わりを迎えるのかなと。もっとも、欧米の多くの国では既に正常化していますから、日本と台湾は遅過ぎるくらいですが。かく言う私も現在日本でこれを書いているわけではありませんし。


夏が近付き、気温が上がってくると、私は今でも台湾で毎年食べたライチの味やマンゴーかき氷のことを思い出します。今となっては大昔の話のようにすら感じられますが、来年には再訪が可能になるのではないかなと。


台湾は私の第二の故郷。2023年は、「台湾ブーム再び!」なんて言葉がメディアを賑わせる、そんな年になったらいいなと願っています。