元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

(安倍晋三 vs 菅義偉)日本の内閣総理大臣に真に必要なたった2つの要素

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一般人にとってはあまりにも謎な職業である「政治家」。その頂点である「内閣総理大臣」に求められる最も重要な要素とは一体何なのか考えてみました。

 

総理大臣に必要な要素


日本の内閣総理大臣が安倍晋三氏から菅義偉氏に代わり4か月が経ちました。


私は政治への関心が強く、連日関連ニュースをチェックしているわけですが、安倍政権が非常に長く続いたため、菅総理を見ているとどうしても無意識のうちに安倍前総理と比べてあれこれ思ってしまいます。各種メディアが批判している通り、やはり菅総理のトーク能力の低さは否定できません。毎回毎回原稿に目を落として無表情で淡々と読んでいるだけですし、原稿を読んでいるだけにも関わらず言い間違いがあまりにも多く、持病が理由で退陣した安倍前総理よりももっと深刻な病気に罹っているのではないかと見ていて心配になります。


政治家に必要な能力というのは実に多岐に及びます。アメリカのバイデン氏や中国の習近平氏、ドイツのメルケル氏らが皆博士号を取得していることからも分かる通り、非常に高いレベルの「学歴と教養」が求められますし、ありとあらゆる業界と関係を持つことになりますから一生勉強は続きます。そしてやはり何と言っても民を導く強い「リーダーシップ」が重要です。関係各所から意見を吸い上げ、自ら決断し、責任を負い、質の高いスピーチで民を納得させる、これが政治家という仕事の本質であることは言うまでもありません。


ただ、日本の「内閣総理大臣」というポストに限ると、ちょっと事情は異なるのかなという気がします。トランプ氏を見ていると分かる通り、アメリカの大統領の場合などはフリートークというか、自らの考えや気持ちを口にする機会が多くありますし、そもそもそれは許されていることです。しかしながら日本の総理大臣というポストは非常に特殊で、アメリカの大統領と比較するとどちらかと言えば「スポークスパーソン」(広報担当者)的であると言えます。


先日、菅総理が緊急事態宣言の発出をしたわけですが、その際のスピーチを聞いた方の多くは「原稿を読んでいるだけ」、「全然響かない」、「もっと自分の言葉で語って欲しい」なんて思われたのではないでしょうか?


でも、そもそも日本の総理大臣の仕事というのは「自らの言葉で語る」ことではないのです。ありとあらゆる事柄を決めているのは「官僚」であり、総理大臣の仕事はスポークスパーソンとして決まったことを発表し、全責任を負うことなのです。だから頭の良い日本人は決して政治家になろうなどとは思わず、政治関係の仕事をしたい人は皆官僚を目指すのです。


しかしながら、この点において菅義偉さんという方は少々変わったタイプの政治家です。彼は積極的に官僚に指示を出すタイプで、官僚を実際に動かすことのできる政治家なのです。ですから彼はずっと長い間周囲から優秀だ優秀だと言われてきたわけで、そういった事務系にやたらと強いという面でも安倍さんとの相性は抜群でした。


安倍さんはスポークスパーソンとしての能力が非常に高く、わかりやすく言えば兎にも角にもコミュ力が高かったのです。一方管さんの能力というのは総理大臣に必要なそれとは異なるのです。よく「裏で牛耳っているのは自民党幹事長の二階俊博氏だ」なんて言われていますが、二階さんも表に出てきて能力を発揮するようなタイプの人ではありません。しかしながら、人と人とを繋ぐ能力や関係各所との調整能力に関してはずば抜けたものを持っていると言われています。「適材適所」という言葉がありますが、菅さんは総理大臣というポストで能力を発揮するタイプの政治家ではなかったということなのだと思います。


では、日本の内閣総理大臣に求められる要素とは一体何なのでしょうか?


もちろん色々あるとは思いますが、単純に「国民から支持される総理大臣」という観点から言えば、私は「トーク力」と「ルックス」の2点に尽きると確信しています。

 

トーク力


メディア関係者というのは私から言わせれば全員左翼ですから、安倍政権時代、連中はひたすら安倍さんの批判をしていました。無教養な国民もそれに倣って批判をしていたわけです。


私は安倍政権時代、「安倍さんほど総理大臣に相応しい政治家はそうそういない」とずっと言い続けてきましたが、今なら皆さんも私のこの意見に同意していただけるのではないでしょうか?


安倍さんだって、「自分自身の意見」や「自分の言葉」など口にしてはいませんでした。原稿を読んでいただけです。彼はスピーチの際、主に「プロンプター」という機材を用いていました。彼はハーフミラーに原稿を映し、それを見ながら読み上げていただけです。これなら目線を下に落とす必要がありませんから、まるで自分の頭の中にある言葉で語っているように見えるわけです。


しかしまあ、そんな物理的な小細工に関しては実はどうでもよくて、肝心なのは「しゃべり方」です。安倍さんも決して滑舌の良い方ではありませんが、緩急のつけ方は上手かったと思います。強調するところはカメラ目線でしっかり強調していましたから国民に響いたのです。しかし菅さんのスピーチはあまりにも緩急がなく、一生懸命聞いていても全然頭に入ってこないんですよね。


上の方でも書きましたが、具体的な政策を決めているのは官僚なんです。そしてスピーチ原稿というのは官僚や秘書官(※別途スピーチライターが起用される場合もある)が執筆しています。ですから、それを「上手く読む」ことこそが総理大臣の仕事なのです。ですからスピーチが下手くそな総理大臣など本来ならあり得ないというか、まともにスピーチができない人が総理大臣になれてしまうというのが日本の政治における最も不可解な点なのです。


また、やはり一番重要なのはスピーチですが、「コミュ力」も本当に重要です。なぜなら、総理大臣は外交でも力を発揮する必要があるからです。安倍さんはトランプ氏やメルケル氏と良好な関係を築けていたようですが、菅さんはどうでしょうね、、、今年の秋以降も政権が続いた場合はもちろんそういった面でも厳しい目で見られることになります。


私は普段人前で話すことが多い仕事をしているので、スピーチの指導を頼まれることも少なくありません。その経験から言えることなのですが、スピーチ能力には間違いなく「才能」も影響します。教えたら教えただけぐんぐん伸びる人もいれば、上達のスピードが遅い人もいます。しかしながら、努力をすればある程度は必ず上手くなります。少なくとも「十分に聞かせられる」程度には上手くなります。


私の場合、スピーチの指導をする際には原稿を2種類用意するようにしています。一つは一般的なもので、もう一つは読点を多くして「切る場所」を明確にし、強調すべき部分を明示したものになっていて、言うなれば前者が歌詞カードだとしたら後者は楽譜に近いのかもしれません。これに身振り手振り等の振り付けも加えて完成させるのですが、そんなに長い時間指導しなくても皆さんそれなりに上手くはなります。


例えば、「本日は皆さんに三つのお願いがあります」と言う際には片手で3本の指を立て、もう片方の手で手首の辺りをポンポンと軽く叩いて強調するのです。そういうのを一つ一つ丁寧にやっていくことで聞き手にとって「分かりやすい」話ができるようになるのです。


総理大臣に意見できる人というのはそうそういないのかもしれませんが、もっと周囲の人たちがうまいことプロデュースしてあげたらいいのに、、、と私はいつも歯痒く感じています。


ちなみに、「話の内容はどうでもいいの?」なんて思われた方もいるかもしれませんが、もちろん重要です。安倍さんの秘書官は大変有能な方だったけれど現在の菅さんの秘書官は微妙、という話もニュースになっていますね。それは間違いないかと思います。今回の緊急事態宣言の目玉は「不要不急の外出自粛要請」なわけですが、原稿に最初に書かれていたのはなぜか「飲食店に対する午後8時まで時短営業要請」だったんですよね。誰がこの原稿を書いたのか知りませんが、少しでも早くクビにしてまともな人材を引っ張ってきた方が良いかと思います。


ただまあ、総理大臣というのは間接的に我々国民が選べるわけですが、原稿の執筆者は選べませんからね、、、


アメリカを見ていても思いますが、政界は人材難なのだと思います。今の世の中、本当に賢い人は学者になって研究に没頭したり、起業して即自分がトップに立ったりするわけで、官僚にだってなりはしません。ましてや政治家など目指すわけがないのです。


トランプ氏が若干暴君的でしたから、良くも悪くも政治家に光が当たることになった気はしますが、結末がこれですからね、、、「何やっても叩かれるわけで、やっぱり政治家なんてのはろくな仕事ではないな」と失望した若者は多いのではないでしょうか。

 

ルックス


日本の内閣総理大臣に必要な二つ目の要素は「ルックス」だと私は考えています。


「ルッキズム」なんて言われてしまいそうですが、世の中というのはそういう綺麗事ベースで動いているわけではないのです。例えば、「有権者は背の高い政治家は優れたリーダーシップの持ち主だと考え投票しがちである」という研究結果も実際に存在します。内閣総理大臣というのは私やあなたの「リーダー」です。日本国の「顔」です。批判を覚悟で書きますが、ルックスも重要です。


安倍さんがG7なんかで各国の首脳とコミュニケーションを取っている時の写真や映像を見て、皆さんは誇らしく感じませんでしたか?


私は日本人として誇らしく感じましたし、こういう人がリーダーで良かったと思いました。「集合写真で見劣りしない」ということは重要です。某巨大掲示板では度々「プーチン氏が他国の首脳と並んだ時の写真」がネタにされていますが、これはもう動物としての本能です。理屈ではないのです。仕方ありません。ガタイが良くて健康的に見えるリーダーの方が国民は安心できるのです。


トランプ氏の就任当時、世界中の人々が思ったはずです、「これぞアメリカ合衆国の大統領!」と。デカくてゴツくて太太しくて、まさに「ザ・リーダー」と呼ぶに相応わしい見てくれでした。彼は「太太しい」という表現をはるかに超え、露骨な人種差別発言、女性差別をしたせいで今日のような結果になってしまいましたが、少し発言に気をつけていれば今回の大統領選でも簡単に勝てたことでしょう。現に、あれほどまでに酷い差別発言を繰り返したにも関わらず、未だにかなりの数のアメリカ人は彼を支持しているわけですから。多くの人が「おじいちゃん」と揶揄しているバイデン氏が人気なのではなく、トランプ氏が自滅しただけなのです。


安倍さんも深刻な持病持ちでしたから、真に「健康的」かどうかと問われると微妙ですが、体の中など一般人には見えないわけで、表面的には元気でした。身長が高くて髪はふさふさ、彼の顔を見て「おじいちゃん」だと感じる人はいなかったでしょう。しかしながら、菅さんはどう見ても「おじいちゃん」です。兎にも角にも見た目が健康的ではないのです。しかも現在日本が直面している国難は疫病の蔓延です。色々とミスマッチ感が酷いというか、あの風体では国民に安心感を与えられないんですよ。


「見てくれよりも能力」と言いたいです、私だって。ただ、総理大臣ほどの人物になるとむしろ中身よりも見た目なんですよ。真に中身が求められるのは事務次官や秘書官たちです。


私は長年海外でフラフラしているので正直日本社会のことはよくわかりませんが、おそらくは皆さんよりも多くの「賢い人たち」を見てきました。欧米でも中華圏でもそうですが、上に立つ者はルックスもちょっと普通の人とは違います。わかりやすく言うと、やはり格好良い人がめちゃくちゃ多いです。もちろん低身長もハゲもいます。でもやっぱり目が違うし、何よりオーラとでも呼ぶべき何かが出ています。


しかしながら、それと同時に、私は「どんな天才でも老化には敵わない」という現実も知っています。業界を問わず最前線で現役として戦える年齢としては、どれだけ健康に気を使っていても、やはり「70歳」が限界ではないでしょうか。一般的には「65歳」くらいだと思います。もっとわかりやすく言うと、「おじいちゃん感」が出たらもうダメなのです。

 

まとめと個人的要望


ということで、日本の内閣総理大臣に必要な要素は「トーク力」と「ルックス」の2点だと私は確信しています。


現に安倍晋三前首相はこの2点に長けていたからあれほどまでの長期政権が実現したのだと思います。両方に長けていなくても、せめて片方だけでも、、、と思うわけですが、菅総理はどちらもダメでした。菅さん自身は間違いなく優秀な方なのだと思います。でなければあの程度の育ちの人間が日本の政界でトップまで登り詰めることができるはずがありません。兎にも角にも、現在のポストが合っていないのです。


最後に個人的要望を書いて終わりたいと思います。


今年、衆議院選挙がありますが、引き続き自由民主党を勝たせるべきです。詳細は割愛しますが、現在日本の野党にまともな政治家はいません。正確に言うと、政権を担うのに十分な「チーム」を構成することが不可能です。「自分らは野党だから政権批判さえしていれば十分」と割り切って自らのポジションをキープすることだけに夢中になっている様は国民にしっかり伝わっています。立憲民主党はまずはもっと優秀な人を集め、自分たちのオリジナル政策をどんどん表に出していかなければなりません。私もよく若い人に言うわけですが、批判って本当にめちゃくちゃ簡単なんですよ。全ての人がハッピーになれる政策など存在しないわけですから。日本の現役世代の脳裏にはあの旧民主党政権時代の悪夢がはっきりと残っているわけで、10年くらいの時間をかけてまずは人材を発掘し育てる努力が必要なのではないでしょうか。


では、自民党が引き続き政権を担うことになったとして、誰が総裁、つまり総理大臣になるべきかという話になるわけですが、もちろん菅さんではありません。自民党所属の国会議員たちは自民党のためにも総裁を代えるべきです。個人的な要望としては、やはり河野太郎氏が一番だと思います。国民の多くは彼にしてほしいと言っているわけですから、素直にそれに従えばよいのです。日本は民主主義国家なのですから。河野さんで行けるところまで頑張って、その次は小泉進次郎氏に引き継げば良いのです。


河野さんにはトーク力がありますし、これからの国際社会で日本が生き抜くためには彼のような適度なアグレッシブさも絶対に必要です。そうでないと日本のような小国は簡単に中国に飲まれてしまうでしょう。あとはあの顔もいいですね。頼り甲斐があります。ただ、麻生太郎さんとの関係等、少々ごちゃごちゃとした上下関係があるので、総裁選への立候補のハードルが若干高いという問題があります。ですから、私も非力ながらこうやってせっせとブログ記事を書いて応援しているのです。


小泉進次郎氏は多分あまり賢くはないです。しかしながら、あまり知性は感じないにせよしっかり喋れるし、何よりルックスが素晴らしい。最高の奥さんもいる。ああいうのでいいんですよ、日本の総理大臣というのは。さすがにまだ若過ぎますが、後々は彼で長期安定政権を目指すのがいいだろうと私は思っています。

 

私の予想は大体外れるので、きっと上述のように事が運ぶことはないでしょう。しかしながら、兎にも角にもありとあらゆる面で不安定な時代です。私のように将来の生活に不安を感じている国民は非常に多いです。一国民としては、とにかく安心させて欲しい、そんな思いが今は特に強いです。