元台湾在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて台湾に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系台湾ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

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台湾人は台湾独立を望んでいない? 習近平の親友、郭台銘(テリー・ゴウ)の総統就任で決定的になる中台統一。

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目の前の水晶に映るのは、ちょっぴり寂しい台湾の未来。


民主主義とは何なのか? 本当に社会主義よりも優れているのか?
最近の台湾、中国、アメリカを見ているとよくわからなくなってきます。

 

2020年の総統選挙


日本では「総理大臣」、アメリカでは「大統領」といったように各国には政府トップのポジションがあるわけですが、台湾(中華民国)では「総統」という名称です。

 

総統の任期は4年であり、現在は2016年に選出された民主進歩党(民進党)の蔡英文氏が務めています。

 

オリンピックイヤーでもある来年2020年の1月に次の総統を決める総統選挙が実施されるのですが、各種メディアが報じているように、番狂わせがなければ中国国民党からの出馬を先月宣言した鴻海科技(フォックスコン)・鴻海精密工業の会長(董事長)兼社長(総経理)である「郭台銘(テリー・ゴウ)」氏が選出される可能性が高いです。

 

私は3年ほど前に当ブログで説明しましたが、この人はかなり中国寄りの人物です。もちろん台湾の人たちは皆それを知っています。

 

taiwanlover.hatenablog.com

 

中国の習近平氏から「老朋友(親友)」と呼ばれていることからもわかるように、中国政府とも極めて強い繋がりを持っています。

 

台湾独立を望まない台湾人


習近平氏は在任中の中台統一実現に関してかなり強いモチベーションを持っていますから、現在の状況はまさに理想的ですし、郭台銘氏の総統就任後には早いペースで統一のための諸手続きが進むことが予想されます。

 

統一後、台湾は香港と同じように「特別行政区」になる可能性が高いようです。「統一」と言っても、すぐに何かが大きく変わるわけではありません。独自の通貨である「台湾元(ニュー台湾ドル)」は当分残りますし、香港の例を考えれば、統一後50年間は社会主義政策も実施されない可能性が高いです。中国と台湾では言語も同じですから、実質的にはほとんど変化を感じないのではないかと個人的には予想しています。

 

しかしながら、今これを読んでいる台湾ファンの日本の皆さんはこう思うかもしれません。

「えっ!? でも、台湾の人たちは台湾独立を望んでいるんでしょ? なんでそんな候補者が支持されるの?」

詳しい方は少ないかと思いますが、実は、世論調査によると、どうやら最近の台湾の多数派の意見としては、そもそも「台湾独立」など望んではいないようです。そんなことよりも、悲惨なレベルの不景気、少子化、年金カット、、、深刻な問題が多過ぎて、国民の多くは「国と富ませてくれるリーダー」を渇望しているのです。

 

私が台湾にいた4年前は全く違う状況でした。台湾独立に向けた運動が盛んに行われ、熱狂の中で蔡英文氏が総統に選出されました。

 

ただ、この人があまりにも無能だったのです。愚策に次ぐ愚策。台湾経済の要であった科学技術関連の補助金をカットしたことで学術界の反感を買い、中国に積極的に喧嘩を売った結果、諸外国から外交をカットされ、かなりの数いる在中台湾人からも強い反感を買いました。

 

台湾の人たちは中国人同様、日本人とは比べものにならないくらい家族を大事にします。そして、台湾人と言えば質素倹約、生活は地味ですが、経済というか、お金に関しては非常に鋭い嗅覚を持っています。ですから、「自分自身や家族の生活」に主眼を置いて総合的に判断した結果、郭台銘氏支持に世論が傾いているのだと思われます。

 

政治的な信条というのは誰にでもあるわけですが、台湾というのは民主主義陣営、個人主義陣営に属しているわけで、国や政府のことなどよりも自らの財布や家族の生活の方が大事なのです。資本主義というのはそもそもこういうものなのです。ですから個人的には、やはり台湾の人たちは柔軟な思考で賢いなと思います。この辺に関しては、なかなか日本人には理解しづらい部分かもしれません。

 

台湾の今後


台湾ファンの皆さんの中には、きっとこんな不安を感じている人が少なくないのではないでしょうか。

「大好きな台湾が中国になって大きく変わっちゃう、、、」

大丈夫ですから、安心してください。台湾は台湾のままですから。あの島が消えて無くなるわけではありませんし、いつもの飲食店は今後も同じ場所にあるはずです。

 

例えば、香港に行ってみればわかりますが、私が今いる北京なんかとは極端に違います。英語表記が溢れ、白人がそこら中を闊歩していますし、LINEもFacebookも普通に使えます。国名が中国なだけで、香港は香港です。もちろん50年かけて徐々に変わっていきますし、政治に関して言えば既にかなり大きな変化がありました。ただ、一般平民の日常生活に限れば大した変化ではありません。

 

我々の寿命なんて高々80年程度。自立した社会人として健康に生きられる時間なんて50年あるかないかです。つまり、社会主義政策の実施に関して「50年」なんていう非常に長い猶予期間が与えられた場合、我々がその向こう側にある未来に関してあれこれ思索を巡らすのはかなり難しいのです。

 

ですから台湾は今後も台湾です。そもそも形式的なことを言い出せば、日本政府は現時点で台湾を国家とは認めていないわけで、そんな日本にいるのが我々日本人なわけですから、我々からしたらなおのこと統一による変化は軽微なのです。

 

私は台湾が大好きですが、「具体的に何が好きなのか?」と問われれば、それはもちろん現地の人々です。温厚で穏やかな性格の現地の人たちが作り出すあの独特の「空気感」がたまらなく好きなのです。そして、住む人間が変わらない以上、今後もそれは決して変わらないと私は信じています。

 

現地に何年も住んでみてわかりましたが、台湾で暮らしているのは台湾人だけではありません。例えばベトナム人なんかもかなり多いです。天母の辺りに行ってみればわかりますが、日本人もたくさん暮らしています。そうやってみんなで作り出しているのがあの台湾独特の雰囲気なのです。グローバル化が進んだ現代ですから、もはや「国」という概念自体も徐々に変わりつつあるように私には思えます。

 

我々には自由があり、政治などというものが我々を縛ることは現代の世では不可能です。現在北京で暮らしている私が言うと、なかなか説得力があると思いませんか?

 

そんなわけで、まあそこまで大事ではないのかなと、個人的には考えています。私も昔はもっと血気盛んで過激なことを言ったりもしましたが、台湾と中国の両国で実際に暮らしてみた結果、日本も台湾も中国も何も変わらないということが理解できました。

 

自分で職を選び、自分の意思で働いて、稼いだお金は自由に使える。これが不可能な国というのも世界にはまだまだ存在します。我々は世界規模で考えたらだいぶ高い水準にいて、そこで取るに足らない「些細な違い」に関してああでもないこうでもないと議論しているだけなのだと思います。

 

とは言え、本音を言えば、少し寂しい気持ちはありますけれどね。

 

まあでも、これならこれで、決して悪い結末ではないのだと思います。

 

我々民衆がほんのちょっと進む道を間違えれば軍事衝突の可能性だって大いにあります。どんなに生きたくても事故や災害でいとも簡単に亡くなるのが人間なわけで、人間同士の殺し合いなど愚の骨頂です。ただ、トランプ氏が銃規制を決してしなかったり、兵器を諸外国に大量に売りつけていることからも分かるわけですが、利益のためなら何でもやることが許されるのが日中米台が共有する資本主義というものなのです。中国は社会主義国家ですが、それはあくまで政治理念の話であって、経済に関しては見紛う事なき市場経済です。

 

ちなみに、50年も経てば中国だって非常に大きく変化していることと思います。私の予想だと、とりあえず外国人人口は現在よりももっとはるかに増えるでしょうね。お金がある場所に人は集まりますから。ただ、これは決して中国の指導者階層が望む未来ではないわけで、一体その辺りをどうしていくつもりなのか、個人的には非常に興味があります。

 

日本への影響


以上、「台湾が中国になってもあまり影響はない」といったような論調でお伝えしてきたわけですが、これはあくまで個人レベルの生活に関しての話です。

 

はっきり言って、台湾が取られてしまうということは、日本の安全保障上では極めて重大な意味を持ちます。これは各種メディアが報じている通りだと思います。

 

ただ、日本の安全保障などアメリカにおんぶに抱っこで、「お金はたっぷり出すからいざという時は代わりに戦って死んでね」と言っているわけで、「中国の脅威が、、、」などと言ったところで冗談みたいなものに個人的には思えます。北朝鮮のような貧国がなぜこれだけ周辺国を振り回し、世界のリーダーであるトランプを引きずり出すことすらできてしまうのかと言ったら、それは核兵器を持っているからです。日本の安全保障を語るのであれば、まずは核武装が必須です。そうでないうちはアメリカの犬でい続けるしかないわけで、安全保障について語る自由度すらありません。

 

そんなわけで、中台統一により安全保障上の中国の脅威は増すわけですが、だからと言って我々に何かできることはありません。引き続き毎日あくせく働いて、税金を納め、それの一部がアメリカに流れるだけです。

 

ちなみに、統一による日本経済への影響に関しては軽微だと思います。中国経済はまだまだ成長を続けていますから、相対的な差は引き続き広がっていくでしょうが。

 

chinalover.hatenablog.com

 

日本としては、外国人の流入が過剰にならないように気をつけつつ、いかに「コンパクトな国家」にシフトしていくかが今後の課題になるかと思います。

 

終わりに


蔡英文氏率いる民進党政権が2016年にスタートし、2年くらい経った頃でしょうか、「次の政権はほぼ間違いなく中国国民党が担うことになるだろう」という話を台湾人のお偉いさんから聞きました。

 

ただ、郭台銘氏が出てくるとは思っていませんでした。何というか、ちょっと何もかもが出来過ぎているんですよね。だいぶ前からこのシナリオが準備されていたのでは?なんて勘ぐりたくもなってしまうくらいです。

 

それにしても、皮肉なものですよね。シャープが買収された時、日本の人たちは「中国じゃなくて台湾の会社で良かった!」なんて言っていたじゃないですか。買収した張本人は実は習近平氏の親友で、総統就任によって中台統一は決定的になり、シャープの技術が中国のさらなる繁栄を手助けすることになるわけですから。

 

アメリカというか、トランプさんのやり方を見ているとよく分かるわけですが、民主主義というのは「いかにうまく無教養な民衆を騙して誘導するか」が全てですからね。

 

政治も経済も、よくよく考えてみると全てのカラクリは拍子抜けするくらい単純だったりして、何だかなと思うことが最近多いです。